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第7章 海上輸送 ・ レッスン7-4

海上運賃とサーチャージ。基本運賃と割増料金のしくみ

読む時間の目安: 6分 ・ 公開日 2026-10-04

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン7-3から

Q1. 海上運送状(Sea Waybill)の説明として、正しいものはどれですか。

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正解: 1. 有価証券ではないが、荷受人であることを確認できれば原本なしで貨物を引き取れる
海上運送状は受領証と運送契約の証拠を兼ねますが、有価証券ではありません。原本の提示は不要です。B/L原本を船積地で回収するのはサレンダードB/Lです。

レッスン7-1から

Q2. 船腹予約(ブッキング)について、正しいものはどれですか。

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正解: 3. 船腹予約は船のスペースの申込みで、船会社が承諾すると運送契約が成立する
船腹予約は、船会社に船の積載スペースを申し込むことで、承諾されると運送契約が成立します。フォワーダーを通して手配することもできます。誰が運送契約を結ぶかは、CIFなら輸出者のように取引条件で決まります。

このレッスンの学習目標

要点

  1. 海上運賃とは、船会社に貨物を運んでもらう対価のことです。基本運賃と、BAF・CAFなどの割増料金(サーチャージ)でできています。
  2. 基本運賃は、重量と容積の高い方のトン数(フレートトン)に賃率をかけるか、コンテナ1本あたりの運賃(ボックスレート)で計算します。
  3. BAFは燃料価格、CAFは為替相場の変動に合わせて調整される割増料金です。THCはコンテナターミナルでの取扱料金です。
  4. 運賃を誰が払うかは取引条件で決まります。揚げ地のTHCのように負担がはっきりしない費用は、売買契約で決めておきます。
  5. 運賃は需要と供給や経済の状況で改定されます。かつて運賃を決めていた運賃同盟の役割は、大きく低下しています。

01海上運賃とは。基本運賃とサーチャージでできている

海上運賃とは、船会社に貨物を運んでもらう対価です。基本運賃と、BAF・CAFなどの割増料金(サーチャージ)を合わせたものです。

海上運賃(Freight)は、船で貨物を運んでもらうために船会社に払う料金です。ジェトロは、海上運賃は基本運賃と割増料金で構成されると説明しています。割増料金はサーチャージ(Surcharge)とも呼ばれます。

基本運賃は、運賃の土台になる部分です。サーチャージは、燃料の値上がりや為替の変動など、運送のコストが変わったときに上乗せされる料金です。ただし船会社によっては、サーチャージ込みの運賃を示す場合もあります。

ジェトロによれば、運賃を決める主な要因は、貨物の重量や容積、品目、運送区間の3つです。同じ貨物でも、どこからどこへ運ぶかで運賃は変わります。

02基本運賃の計算。重量か容積か、コンテナ1本単位か

基本運賃は、重量と容積の高い方のトン数(フレートトン)に賃率をかけて計算します。コンテナ船では、コンテナ1本あたりのボックスレートがよく使われます。

ジェトロは、基本運賃を2つの方法で計算すると説明しています。1つは、容積と重量のうち高い方のトン数に、賃率をかける方法です。この運賃計算用のトン数をフレートトン(運賃計算トン)といいます。賃率とは、1トンあたりの運賃の単価です。

たとえば、容積で数えると3トン、重量で数えると2トンになる貨物があるとします(説明のための例です)。この場合は高い方の3トンを使います。賃率が1トンあたり50ドルなら、基本運賃は150ドルです。軽くてかさばる貨物は容積で、重い貨物は重量で計算されることになります。

もう1つはボックスレートで、コンテナ1本あたりの一括運賃です。ジェトロ大分の貿易実務の連載でも、コンテナ船ではボックスレートが適用されることが多いとしています。コンテナ1本を貸し切るFCLと、混載のLCLの違いはレッスン7-2で学びます。

03主なサーチャージ。BAF・CAF・THC・PSS

BAFは燃料価格、CAFは為替相場の変動に合わせて調整される割増料金です。ほかに、繁忙期のPSSや、ターミナルでの取扱料金のTHCなどがあります。

BAF(Bunker Adjustment Factor)は燃料割増料金です。燃料の重油の価格変動に合わせて調整されます。ジェトロによれば、一般にトン当たりかコンテナ当たりで決められます。航路によっては、FAFやEBSなど別の名前で呼ばれます。

CAF(Currency Adjustment Factor)は通貨変動調整係数で、為替相場の変動に合わせて調整されます。一般に基本運賃に対する割合(%)で決められます。東南アジア航路などでは、円高に対するYASという割増料金もあります。ほかに、季節的に貨物が急増する時期のPSS(ピーク・シーズン割増)や、港が混み合うときの船混み割増があります。

THC(Terminal Handling Charge)は、コンテナターミナル内でのコンテナの取扱料金です。本船からの積み下ろしや、ヤード内での移動などをまとめた料金です。原則として、積み地と揚げ地の両方で船会社が徴収します。混載貨物には、CFSチャージという取扱料金もかかります。

計算例で確かめます(金額はすべて説明のための例です)。コンテナ1本の基本運賃が1,000ドル、BAFが200ドル、CAFが基本運賃の10%なら、CAFは100ドルです。海上運賃は合計1,300ドルになり、これとは別にTHCなどがかかります。

04運賃は誰が払うのか。取引条件と前払い

海上運賃を誰が払うかは、インコタームズの取引条件で決まります。揚げ地のTHCのように負担があいまいな費用は、売買契約で決めておきます。

レッスン4-2で見たとおり、FOBでは買主が、CFRやCIFでは売主が運送契約を結び、運賃を払います。ジェトロ大分の連載によれば、FOBでも、買主に代わって売主が運送契約を結ぶことがあります。

注意したいのがTHCです。ジェトロは、CIFの場合、積み地のTHCは売主の負担としています。一方、揚げ地のTHCは、運送契約に含まれている場合に限り売主の負担です。含まれていなければ、結局は買主の負担となることがほとんどです。トラブルを避けるため、どちらが払うかを売買契約で決めておきます。

運賃を払う時期にも違いがあります。ジェトロによれば、前払い条件では、船会社は本船への積載を確かめ、前払い運賃を受け取ってから船荷証券(B/L)を発行します。B/Lのしくみは、レッスン7-3で学びます。

05運賃は変動する。需要と供給、運賃同盟の役割の低下

海上運賃は、需要と供給や経済の状況に応じて改定されます。定期船の運賃を決めてきた運賃同盟の役割は、大きく低下しています。

ジェトロによれば、鉄鉱石などを運ぶ不定期船の運賃は、船腹(船の積み込みスペース)の需要と供給で決まります。定期船の運賃も、需給の状況や経済の事情で改定されます。そのため、見積もりの前に船会社に最新の運賃を確かめることが大切です。

定期船の航路には、運賃同盟(Shipping Conference)という船会社どうしの協定があります。公正取引委員会によれば、同盟は基本運賃やサーチャージの水準を示す運賃表(タリフ)を作ります。加盟する船会社は、原則としてそれを守るとされています。

ただし、その役割は小さくなっています。EUは2008年10月、同盟を競争法の適用除外とする制度を廃止しました。国土交通省も2016年、運賃同盟の役割が著しく低下しているとして、見直す方針を示しています。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

海上運賃Ocean freight

船会社に貨物を運んでもらう対価。基本運賃とサーチャージで構成される。

基本運賃Base rate

海上運賃の土台になる運賃。フレートトンに賃率をかけるか、コンテナ1本あたりの額で決める。

サーチャージ(割増料金)Surcharge

燃料価格や為替相場の変動、港の混雑などで運送コストが変わるときに、基本運賃に上乗せされる料金。

フレートトン(運賃計算トン)Freight ton

容積と重量のうち高い方のトン数。これに賃率をかけて基本運賃を計算する。

ボックスレートBox rate

コンテナ1本あたりの一括運賃。コンテナ船でよく使われる。

BAF・CAFBunker Adjustment Factor / Currency Adjustment Factor

BAFは燃料価格の変動、CAFは為替相場の変動に合わせて調整される割増料金。

THCTerminal Handling Charge

コンテナターミナル内でのコンテナの取扱料金。原則として積み地と揚げ地の両方で徴収される。

運賃同盟Shipping conference

運賃水準の取り決めを伴う船会社どうしの協定。運賃表(タリフ)を作るが、その役割は大きく低下している。

出典

  1. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「BAF、CAFの意味と海上運賃の構成要素:日本」
  2. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「貨物運賃の基準および運賃以外の費用:日本」
  3. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「CIF契約輸入におけるTHC費用配分とその留意点:日本」
  4. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「本船入港時に掛かる諸掛りの種類とその内容」
  5. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「ドック・レシート、メーツ・レシート:日本」
  6. ジェトロ大分 貿易協会シリーズ「輸出取引の仕組み(14) 7.運送契約」(PDF)
  7. 公正取引委員会「外航海運に係る独占禁止法適用除外制度の在り方について」(2016年2月、PDF)
  8. 国土交通省 報道発表資料「外航海運に係る独占禁止法適用除外制度に関する再検討の結果について」(2016年6月)

LESSON 7-4 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. 容積で数えると4トン、重量で数えると3トンになる貨物があります。賃率が1トンあたり50ドルのとき、基本運賃はいくらですか(説明のための例)。

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正解: 2. 200ドル
フレートトンは容積と重量の高い方のトン数です。4トン×50ドル=200ドルになります。2つを足して計算するのではありません。

Q2. BAFの説明として正しいものはどれですか。

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正解: 3. 燃料の重油の価格変動に合わせて調整される割増料金
BAFは燃料割増料金です。為替相場に合わせて調整されるのはCAF、ターミナルでの取扱料金はTHCです。

Q3. CIFで輸入するとき、揚げ地のTHCについて正しい説明はどれですか。

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正解: 1. 運送契約に含まれていなければ、買主の負担となることがほとんどなので、売買契約で決めておく
ジェトロによれば、揚げ地のTHCが売主の負担になるのは運送契約に含まれている場合だけです。含まれていなければ結局は買主の負担となることがほとんどなので、売買契約で明確にしておきます。

レッスン7-4はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第7章 海上輸送 のレッスン一覧
  1. 7-1定期船と不定期船
  2. 7-2FCLとLCL
  3. 7-3船荷証券(B/L)
  4. 7-4海上運賃とサーチャージ

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