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第9章 貨物保険と貿易保険 ・ レッスン9-1貨物海上保険の基礎。誰がいつ掛けるのか
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. 国際複合輸送の説明として、正しいものはどれですか。
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正解: 1. 同じ運送人が2つ以上の異なる輸送手段を使い、引受けから引渡しまで一貫して運ぶ
国際複合輸送は、1つの運送人が海・陸・空のうち2つ以上を組み合わせ、全区間を一貫して引き受ける輸送です。区間ごとに別契約をするのは複合輸送ではありません。
Q2. 縦80cm、横50cm、高さ30cmの箱で、実重量が15kgの航空貨物があります。単価が1kgあたり800円のとき、運賃はいくらですか(説明のための例)。
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正解: 3. 16,000円
容積は120,000cm3で、6,000で割ると容積重量は20kgです。実重量15kgより大きいので20kgを使い、20kg×800円=16,000円です。実重量と容積重量を足すのではありません。
このレッスンの学習目標
- 貨物海上保険の意味と、外航貨物海上保険・内航貨物海上保険の違いを説明できる
- 取引条件によって、売主と買主のどちらが誰のために保険を掛けるかがわかる
- 倉庫間約款による保険期間の始まりと終わりを説明できる
要点
- 貨物海上保険とは、輸送中の貨物に生じるさまざまな損害に備える保険のことです。輸出・輸入・三国間貿易が対象で、航空貨物も含まれます。
- 輸出入の国際輸送には外航貨物海上保険を使います。国内の工場から本船積込みまでを補う輸出FOB保険は、内航貨物海上保険の一種です。
- CIF・CIPでは売主が買主のために保険を掛け、FOB・CFR・FCA・CPTなどでは買主が自分のために掛けます。
- 保険期間は原則として、積地の倉庫で貨物が動き出した時から、仕向地の倉庫に搬入されるまでです。これを倉庫間約款といいます。
- 損害保険は、金銭に見積もることができる利益(被保険利益)を守るものです。貨物の危険を負う人が、自分の損害に備えて保険を掛けます。
01貨物海上保険とは。輸送中の損害に備える保険
貨物海上保険とは、輸送中の貨物に生じるさまざまな損害に備える保険です。名前に海上とありますが、輸出・輸入・三国間貿易の貨物が対象で、航空貨物も含まれます。
このレッスンでは、日本の機械部品メーカーA社が、海外の買主B社に部品を輸出する例で考えます。貿易は国内取引より輸送距離が長く、時間もかかります。その分、輸送中の事故で貨物が傷んだり、なくなったりするおそれが高くなります。
ジェトロは、このリスクに備えて貨物海上保険を掛ける必要があると説明しています。保険を掛けることを、実務では付保(ふほ)といいます。損害が出たときは、保険の条件に従って保険金を受け取れます。
日本の商法第815条は、海上保険契約を、航海に関する事故で生じうる損害を補う損害保険契約と定めています。どんな事故が補償されるかは保険条件で決まり、レッスン9-2で学びます。
02外航貨物海上保険と内航貨物海上保険
輸出入の国際輸送に使うのが外航貨物海上保険です。国内の工場や倉庫から輸出本船に積むまでを補う輸出FOB保険は、内航貨物海上保険の一種とされています。
A社が日本から部品を送る場合や、B社が海外から買い入れる場合の国際輸送には、外航貨物海上保険を使います。ジェトロは、輸入者が日本の保険会社の外航貨物海上保険を掛けると、事故にすぐ対応できる利点があると説明しています。
一方、輸出FOB保険は、国内の工場や倉庫から出した時に始まり、輸出本船に積み込んだ時などに終わる保険です。輸送中だけでなく、途中の保管中の危険もまとめて補います。
輸出FOB保険は内航貨物海上保険の一種です。補償範囲の広いオールリスク条件でも、陸上や川・湖にある間の地震・噴火による損害は対象外です。これに関連する津波・火災による損害も同じです。
03誰が掛けるのか。取引条件で決まる
売主と買主のどちらが保険を掛けるかは、インコタームズなどの取引条件で決まります。CIF・CIPでは売主が買主のために、FOB・CFR・FCA・CPTなどでは買主が自分のために掛けます。
CIFとCIPで売主が満たすべき補償の水準や保険金額は、レッスン4-2と4-3で学びました。売主は保険会社に見積りを依頼し、保険料を含めてCIF価格を計算します。
FOBやCFRなどでは、買主が保険を掛けます。この場合、売主には保険を掛ける義務はありません。ただし、船積みが終わったことを書類のコピーなどで買主に知らせる義務があり、買主はそれをもとに保険を確定させます。
注意したいのは、危険が移るまでの売主自身のリスクです。たとえばFOBやCFRでは、本船の船上に置くまで危険は売主にあります。そのためA社は、輸出FOB保険で船積みまでのリスクに備えます。DAPなどの仕向地で引き渡す条件でも、売主は通常、引渡しまでの保険を自分で掛けます。
04いつからいつまで。倉庫から倉庫までの保険期間
貨物海上保険の保険期間は、原則として積地の倉庫などで貨物が輸送のために動き出した時から、仕向地で荷受人が指定する倉庫などに搬入され、荷卸しが終わるまでです。
この決まりを倉庫間約款(Warehouse to Warehouse Clause)といいます。海上輸送の前後にあるトラック輸送なども含めて、戸口から戸口までを1つの保険で補う考え方です。
ただし、終わりには期限があります。通常の輸送とはいえない保管などに倉庫を使う場合は、その倉庫での荷卸しが終わった時に終わります。また、本船から荷卸しして60日、航空貨物は機体から降ろして30日がたった時のいずれか早い時点でも終わります。
買主がFOBやCFRで輸入する場合、日本の保険会社はFOB Attachment Clauseという約款を付けて引き受けます。保険は、危険が移る本船の甲板に貨物を置いた時から始まります。それまでの区間は、売主側で保険を掛ける必要があります。
05被保険利益。保険は誰の損害を補うのか
損害保険は、金銭に見積もることができる利益に限って、その対象にできます。これを被保険利益といいます。貨物の危険を負う人が、自分の損害に備えて保険を掛けるのが基本です。
保険法第3条は、損害保険契約は金銭に見積もることができる利益に限り、その目的にできると定めています。保険で損害を補われる人を被保険者といい、保険料を払う人は保険契約者といいます。
FOB Attachment Clauseが船積み前の区間を外すのは、この区間が本来、買主の負うリスクではないからです。ジェトロは、買主のリスクに合った保険にし、保険料の払いすぎを防ぐためと説明しています。保険金額の決め方と申込みの手順はレッスン9-3で学びます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
輸送中の貨物に生じるさまざまな損害に備える保険。輸出・輸入・三国間貿易が対象で、航空貨物も含む。
輸出入の国際輸送中の貨物を対象とする貨物海上保険。
国内の工場や倉庫から出した時から輸出本船に積み込むまでの、輸送中と保管中の危険を補う保険。内航貨物海上保険の一種。
保険を掛けること。
保険期間を、積地の倉庫で貨物が動き出した時から、仕向地の指定倉庫に搬入され荷卸しが終わるまでとする決まり。
FOB・CFRの輸入貨物の保険を、貨物を本船に置いた時から始めるようにする約款。船積み前の区間を補償から外す。
損害保険の対象にできる、金銭に見積もることができる利益。保険法第3条に定めがある。
損害保険契約で、補償される損害を受ける者。保険料を払う保険契約者と同じとは限らない。
出典
LESSON 9-1 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. 倉庫間約款で、海上輸送の貨物が仕向地の倉庫に搬入されないまま時間がたった場合、保険期間はいつ終わりますか。
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正解: 2. 本船から荷卸ししてから60日がたった時
海上輸送では、本船から荷卸しして60日がたつと保険期間が終わります(それより早く最終倉庫などに搬入されれば、その時点で終わります)。30日は航空貨物の場合の期限です。
Q2. A社がFOB条件で輸出します。A社の倉庫から本船に積み込むまでの貨物のリスクについて、正しいものはどれですか。
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正解: 3. 危険はまだA社にあるので、A社が輸出FOB保険などで備える
FOBでは、本船の船上に置くまで危険は売主にあります。買主の保険はFOB Attachment Clauseで船積み後から始まるため、売主が輸出FOB保険で備えます。
Q3. CIPで輸出する場合、貨物海上保険を掛けるのは誰ですか。
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正解: 1. 売主が、買主のために掛ける
CIFとCIPでは、売主が買主のために保険を掛けます。FOB・CFR・FCA・CPTなどでは、買主が自分のために掛けます。
レッスン9-1はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。