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第1章 貿易とは何か ・ レッスン1-1

貿易とは何か。国内取引と何が違うのか

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-03

このレッスンの学習目標

要点

  1. 貿易とは、国境を越えてモノやサービスを売り買いする取引のことです。この講座では主にモノ(貨物)の貿易を扱います。
  2. 自国から外国へ売るのが輸出、外国から買うのが輸入です。
  3. 国内取引と違い、国境では税関への申告と許可(通関)が必要です。
  4. 長い距離を船や飛行機で運ぶため、運送と保険の手配、費用と危険の分担を決める取引条件(インコタームズ)が重要になります。
  5. 相手が遠くにいて通貨も違うため、代金回収と為替のリスクがあり、英語の契約書や外国の法律にも向き合う必要があります。

01貿易の定義

貿易とは、国境を越えてモノやサービスを売り買いする取引のことです。自国から外国へ売るのが輸出、外国から買うのが輸入です。

貿易には、自動車や食品のような「モノ」の取引と、運送・旅行・ソフトウェアのような「サービス」の取引があります。貿易実務検定や企業の貿易部門で中心になるのはモノの取引で、この講座も主にモノ(貨物)の貿易を扱います。

モノの貿易では、売り手を輸出者、買い手を輸入者と呼びます。日本の会社がアメリカの会社に機械を売れば、日本の会社にとっては輸出、アメリカの会社にとっては輸入です。同じ1つの取引が、立場によって輸出にも輸入にもなります。

国内で商品を売るときも、契約をして、商品を届けて、代金を受け取るという流れは同じです。しかし国境を越えると、この流れのあちこちに国内取引にはない手続とリスクが加わります。その違いを知ることが、貿易実務を学ぶ第一歩です。

02違い1. 国境で通関が必要になる

貿易では、貨物を輸出・輸入するたびに税関へ申告し、許可を受けなければなりません。この手続を通関といいます。

日本から貨物を輸出するときは、品名・数量・価格などを書いた輸出申告書に、仕入書(インボイス)などの書類を添えて税関に提出し、必要な検査を経て輸出の許可を受けます。輸出の許可は原則として、貨物を保税地域に入れた後に出されます。

外国から到着した貨物を国内に引き取るときは、輸入申告をし、必要な検査を受け、関税・消費税などを納めてから輸入の許可を受けます。許可を受けた貨物は、はじめて国内で自由に流通できる「内国貨物」になります。

さらに、武器に使われるおそれのある製品や、動植物・医薬品などは、関税法以外の法律でも許可や承認が必要になることがあります。こうした手続は専門知識が必要なため、多くの輸出入者は、財務大臣の許可を受けた通関業者に申告を任せています。

03違い2. 遠くまで運ぶため、運送・保険・取引条件が欠かせない

貿易の貨物は船や飛行機で長い距離を運ぶため、運送と保険の手配が必要です。誰がどこまで費用と危険を負うかは、取引条件(インコタームズ)で決めます。

国内なら数日で届く荷物も、貿易では海上輸送で数週間かかることがあります。途中で嵐にあったり、積み替えのときに壊れたりするおそれもあるため、貨物に保険を掛けるのが一般的です。

ここで問題になるのが、「運賃と保険料をどちらが払うのか」「途中で貨物が壊れたら、どちらの損になるのか」です。毎回ゼロから決めると誤解が起きやすいため、国際商業会議所(ICC)はインコタームズという11の取引条件を定めています。FOBやCIFといった3文字の略号で、売り手と買い手の費用・危険・引渡しの分担を表します。

インコタームズは第4章、運送は第7章と第8章、保険は第9章で詳しく学びます。

04違い3. 代金回収と為替のリスクがある

相手が遠い外国にいるため、代金が払われないリスクと、為替相場の変動で受け取る金額が変わるリスクがあります。

国内取引なら、相手の会社を訪ねたり、信用調査をしたりするのは比較的簡単です。外国の相手の場合はそれが難しく、「商品を送ったのに代金が払われない」「代金を払ったのに商品が届かない」というリスクが大きくなります。

このリスクを減らすために、貿易では銀行を間に入れた決済方法が使われます。代表的なのが信用状(L/C)で、条件どおりの書類を出せば、買い手の銀行が支払いを約束するしくみです。決済方法は第5章で学びます。

また、ドルなど外国の通貨で取引すると、契約から代金を受け取るまでの間に為替相場が動き、円に換えたときの金額が変わります。この為替リスクへの備え方は第6章で学びます。

05違い4. 言語・法律・商習慣が違う

貿易の相手とは言語も法律も商習慣も違うため、英語の契約書で条件を細かく決め、トラブルが起きたときの解決方法まで取り決めておきます。

貿易の契約書や書類の多くは英語で書かれます。品質・数量・価格・納期・支払条件などを、あいまいさのないように文書で決めておくことが、国内取引以上に重要になります。英語の書類の読み方は第13章で学びます。

国によって法律も違うため、契約にどの国の法律を使うか、もめたときにどこで解決するかも契約で決めておきます。国際的な売買の共通ルールや規制は第2章、契約は第3章、クレームと紛争解決は第12章で扱います。

このように、貿易には通関業者、船会社、フォワーダー、銀行、保険会社など、国内取引より多くの専門家が関わります。次のレッスンでは、この登場人物を一人ずつ見ていきます。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

貿易International trade

国境を越えてモノやサービスを売り買いする取引。

輸出Export

自国の貨物を外国に向けて送り出すこと。

輸入Import

外国から到着した貨物を国内に引き取ること。

通関Customs clearance

税関に輸出・輸入を申告し、許可を受ける手続。

保税地域Bonded area

通関が終わるまで貨物を置いておく、税関の管理下の場所。

通関業者Customs broker

輸出入者に代わって税関への申告などを行う事業者。財務大臣の許可が必要。

インコタームズIncoterms

ICCが定める、売り手と買い手の費用・危険・引渡しの分担を表す11の取引条件。

インボイス(仕入書)Invoice

貨物の品名・数量・価格などを記載した書類。輸出申告にも使う。

出典

  1. 税関「5001 輸出通関手続の概要(カスタムスアンサー)」
  2. 税関「1101 輸入通関手続の概要(カスタムスアンサー)」
  3. 税関「9103 通関業者の概要及び通関業者一覧(カスタムスアンサー)」
  4. International Chamber of Commerce (ICC), "Incoterms® rules"
  5. ジェトロ「これから輸出に取り組んでみたい」(貿易のしくみ・国内取引との違い・貿易特有のリスク)

LESSON 1-1 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. 日本の会社が外国の会社から食品を買い、日本国内に引き取ることを何といいますか。

答えを見る

正解: 2. 輸入
外国から到着した貨物を国内に引き取ることを輸入といいます。売った外国の会社にとっては輸出です。

Q2. 日本で外国から到着した貨物を国内に引き取るときの手続として、正しいものはどれですか。

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正解: 1. 税関に輸入申告をし、必要な検査と税金の納付を経て、輸入の許可を受ける
輸入申告・必要な検査・関税などの納付を経て輸入の許可を受けます。通関業者は手続を代わりに行う専門家で、手続そのものがなくなるわけではありません。

Q3. インコタームズについての説明として、正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 2. 国際商業会議所(ICC)が定める、売り手と買い手の費用・危険・引渡しの分担を表す取引条件
インコタームズはICCが定める11の取引条件です。銀行が支払いを約束する書類は信用状(L/C)で、第5章で学びます。

レッスン1-1はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第1章 貿易とは何か のレッスン一覧
  1. 1-1貿易とは何か
  2. 1-2貿易の登場人物
  3. 1-3輸出の流れ
  4. 1-4輸入の流れ
  5. 1-5数字で見る日本の貿易

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