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第1章 貿易とは何か ・ レッスン1-2

貿易の登場人物。誰が何をするのか

読む時間の目安: 4分 ・ 公開日 2026-10-03

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン1-1から

Q1. 日本で外国から到着した貨物を国内に引き取るときの手続として、正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 税関に輸入申告をし、必要な検査と税金の納付を経て、輸入の許可を受ける
輸入申告・必要な検査・関税などの納付を経て輸入の許可を受けます。通関業者は手続を代わりに行う専門家で、手続そのものがなくなるわけではありません。

このレッスンの学習目標

要点

  1. 貿易の登場人物とは、輸出者と輸入者の取引を、お金・貨物・手続・リスクの面で支える関係者のことです。
  2. 銀行は、送金や荷為替手形による代金の決済を担い、信用状(L/C)を発行して支払いを約束することもあります。
  3. 船会社と航空会社は自ら輸送手段を持つ実運送人で、フォワーダーは実運送人の輸送を利用して貨物を運ぶ利用運送事業者です。
  4. 通関業者は、財務大臣の許可を受けて、輸出入者に代わり税関への申告などを行います。
  5. 損害保険会社は、輸送中の貨物の損害に備える貨物海上保険を引き受けます。

01中心にいるのは輸出者と輸入者

貿易取引の中心は、売り手である輸出者と買い手である輸入者です。2人が結ぶ売買契約に沿って、ほかの登場人物が動きます。

貿易の出発点は、輸出者と輸入者が結ぶ売買契約です。品物・数量・価格・納期・支払方法などをここで決めます。契約の結び方は第3章で学びます。

ただし、輸出者と輸入者だけでは取引は完了しません。ジェトロは、貿易実務では商品・代金・書類と情報の3つの流れが同時に動くと説明しています。

この3つの流れを、銀行、運送会社、通関業者、保険会社などが分担して支えています。以下で一人ずつ見ていきましょう。

02銀行。代金の決済を担う

銀行は、輸入者から輸出者へ代金を届ける決済の窓口です。信用状(L/C)を発行し、買い手に代わって支払いを約束することもあります。

代金の払い方には、銀行を通して送金する方法と、荷為替手形を使う方法があります。荷為替手形とは、代金を請求する為替手形に船積書類を添えたものです。輸出者はこれを銀行に提示して決済します。

さらに信用状(L/C)を使うと、条件どおりの書類が出されることを前提に、発行した銀行が代金の支払いを約束します。輸出者にとっては、代金が払われないリスクを減らせます。

代金回収の備えとしては、日本貿易保険(NEXI)の貿易保険もあります。決済は第5章、貿易保険は第9章で学びます。

03船会社・航空会社とフォワーダー。貨物を運ぶ

船会社と航空会社は、自ら船や航空機を持って運ぶ実運送人です。フォワーダーは、自分では輸送手段を持たず、実運送人の輸送を利用して貨物を運びます。

船会社や航空会社は、自分の船や航空機で港から港、空港から空港まで貨物を運びます。そのため実運送人(キャリア)と呼ばれます。船会社は、貨物を受け取った証拠となる船荷証券(B/L)を発行します。

フォワーダーは、荷主から貨物を預かり、実運送人の輸送機関を使って運送を引き受ける業者の総称です。日本の法律では貨物利用運送事業と呼ばれ、貨物利用運送事業法が定めています。

フォワーダーには、小口の貨物を集めてまとめる混載業者や、船とトラックなど複数の輸送手段を一つの契約でつなぐ業者もあります。海上輸送は第7章、航空輸送と複合輸送は第8章で学びます。

04通関業者と税関。国境の手続を担う

輸出入の貨物は、税関に申告して許可を受けなければなりません。この手続を輸出入者に代わって行うのが、財務大臣の許可を受けた通関業者です。

税関は、輸出入の申告を受けて書類審査や検査を行い、許可を出す国の機関です。通関の手続には専門知識が必要なため、多くの輸出入者は専門家に任せています。

他人の依頼を受けて税関への申告などを代わりに行う仕事を通関業といいます。通関業を営むには財務大臣の許可が必要で、許可を受けた事業者を通関業者と呼びます(通関業法)。

港では、船への積み降ろしを行う港湾運送事業者も働いています。積み降ろしのときに貨物の個数を数えて証明する検数や、容積や重量を計算して証明する検量もその仕事です。通関の流れは第10章で学びます。

05損害保険会社。輸送中の損害に備える

損害保険会社は、輸送中の貨物に起きた損害を補う貨物海上保険を引き受けます。誰が保険を掛けるかは、取引条件によって変わります。

貨物海上保険とは、輸送中の貨物に生じるさまざまな損害に備える保険です。名前に海上とありますが、航空貨物も対象に含まれます。

CIFやCIPという取引条件では、売り手が保険を掛けます。FOBなどの条件では、買い手が自分のために保険を掛けるのが一般的です。保険のしくみは第9章で詳しく学びます。

ここまでの登場人物は、取引の順番に沿って次々に出番が来ます。次のレッスンでは、契約から代金回収までの輸出の流れを、登場人物と一緒にたどります。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

実運送人Actual carrier

船会社や航空会社のように、自ら輸送手段を持って実際の輸送を行う運送人。

フォワーダーFreight forwarder

荷主から貨物を預かり、実運送人の輸送機関を利用して運送を引き受ける業者。

貨物利用運送事業Freight forwarding business

荷主の依頼を受け、有償で、実運送事業者の運送を利用して貨物を運ぶ事業。

通関業者Customs broker

財務大臣の許可を受け、輸出入者に代わって税関への申告などを行う事業者。

荷為替手形Documentary bill of exchange

代金を請求する為替手形に、船荷証券などの船積書類を添えたもの。

信用状(L/C)Letter of credit

条件どおりの書類が出されることを前提に、発行銀行が代金の支払いを約束する書類。

船荷証券(B/L)Bill of lading

船会社が貨物を受け取ったことを示して発行する書類。貨物を受け取る権利を表す。

貨物海上保険Marine cargo insurance

輸送中の貨物の損害に備える保険。航空貨物も対象に含む。

出典

  1. ジェトロ「物流業者の種類と概要:日本」(貿易・投資相談Q&A)
  2. 国土交通省「Q1. 貨物利用運送事業とは、どのような事業か。実運送事業と何が異なるのか。」
  3. 税関「9103 通関業者の概要及び通関業者一覧(カスタムスアンサー)」
  4. ジェトロ「貿易実務の流れ」
  5. ジェトロ「船積船荷証券(Shipped B/L)受取船荷証券(Received B/L)の違い:日本」
  6. ジェトロ「輸出債権の保全策:日本」(貿易・投資相談Q&A)
  7. ジェトロ「輸出取引における決済方式の変更を依頼された際の留意点:日本」(L/C・D/P・D/A・送金の比較)
  8. ジェトロ「荷主としての貨物への保険の種類と留意点:日本」(貿易・投資相談Q&A)
  9. 国土交通省 中部運輸局「港湾運送事業の種類(作業風景)」(検数事業・検量事業の定義)

LESSON 1-2 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. 自ら船や航空機を持たず、船会社や航空会社の輸送を利用して荷主の貨物を運ぶ業者を何といいますか。

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正解: 1. フォワーダー
フォワーダーは、実運送人の輸送機関を利用して運送を引き受ける利用運送事業者です。通関業者は税関への申告を、銀行は決済を担います。

Q2. 日本で通関業を営むために必要なものはどれですか。

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正解: 2. 財務大臣の許可
通関業法により、通関業を営むには財務大臣の許可が必要です。許可を受けた事業者を通関業者といいます。

Q3. CIF条件で輸出するとき、貨物海上保険を掛けるのは誰ですか。

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正解: 3. 売り手(輸出者)
CIFやCIPの条件では、売り手が保険を掛けることになっています。FOBなどの条件では、買い手が自分のために保険を掛けるのが一般的です。

レッスン1-2はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第1章 貿易とは何か のレッスン一覧
  1. 1-1貿易とは何か
  2. 1-2貿易の登場人物
  3. 1-3輸出の流れ
  4. 1-4輸入の流れ
  5. 1-5数字で見る日本の貿易

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