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第1章 貿易とは何か ・ レッスン1-3輸出はどんな順番で進むのか。契約から代金回収まで
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-03
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. CIF条件で輸出するとき、貨物海上保険を掛けるのは誰ですか。
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正解: 3. 売り手(輸出者)
CIFやCIPの条件では、売り手が保険を掛けることになっています。FOBなどの条件では、買い手が自分のために保険を掛けるのが一般的です。
このレッスンの学習目標
- 輸出の流れを、契約から代金回収までの8つのステップで説明できる
- 輸出の許可が、貨物を保税地域に入れた後に出されることがわかる
- 信用状取引で、船積書類が代金回収にどう使われるかがわかる
要点
- 輸出の流れとは、取引先を探して契約を結んでから、貨物を送り出して代金を受け取るまでの一連の手順のことです。
- 流れは大きく、契約段階・輸送段階・決済段階の3つに分かれ、商品・代金・書類の3つが同時に動きます。
- 契約の前後に、輸出する製品が外為法などの規制にかかるかを確認し、必要なら許可を受けておきます。
- 貨物は保税地域に入れ、税関に輸出申告をして許可を受けてから船に積みます。船会社は船荷証券(B/L)を発行します。
- 信用状取引では、B/Lなどの船積書類を為替手形とともに銀行に持ち込み、買い取ってもらうことで代金を回収します。
01輸出の全体像。8つのステップ
輸出は、契約・輸送・決済の3段階で進みます。細かく分けると、取引先探しから代金回収まで8つのステップになります。
ここでは、日本の機械メーカーが東南アジアの会社に機械を輸出する場面を例にします。取引は大きく、条件を決める契約段階、貨物を送り出す輸送段階、代金を受け取る決済段階に分かれます。その間、商品・代金・書類の3つが同時に動いている点が、国内取引との大きな違いです。
細かく分けると、流れは次の8つです。(1)取引先探しと信用調査、(2)引合い・オファーと契約、(3)信用状の受取りと点検、(4)輸出規制の確認、(5)船腹予約と保険、(6)保税地域への搬入と輸出申告・許可、(7)船積みとB/Lの受取り、(8)船積書類による代金回収です。
これはあくまで代表的な例です。決済方法や取引条件によって、順番や、誰が手続をするかは変わります。以下、段階ごとに見ていきます。
02契約段階。取引先を探し、条件を決める
まず取引先を探して信用を調べ、価格・数量・納期・決済方法などを交渉して契約を結びます。信用状取引なら、その後に信用状が届きます。
(1)機械メーカーは、海外で売れそうな製品を決めて売り込み先を探します。相手が代金を払えるかを確かめるため、取引先の信用調査も行います。
(2)買い手からの問い合わせを引合いといいます。売り手は価格や条件を示す申込み(オファー)を出し、相手が受け入れる(承諾)と契約が成立します。相手国によっては口頭でも成立しますが、もめないよう契約書にまとめ、双方が署名するのが望ましいとされます。運賃や保険をどちらが負担するかも、ここで取引条件として決めます。
(3)決済を信用状(L/C)で行う場合、買い手が銀行に信用状を発行してもらいます。L/Cとは、書類の条件を満たせば発行銀行が支払いを約束する書類です。届いたら内容を確かめ、契約と食い違えば修正(アメンド)を求めます。取引先探しと契約は第3章、取引条件は第4章、信用状は第5章で学びます。
03輸送段階1. 規制の確認と輸送の準備
船に積む前に、製品が輸出規制にかからないかを確認します。あわせて、船のスペースを予約し、貨物に保険を掛けます。
(4)機械の中には、武器の開発などに使われるおそれがあるとして、外為法で規制されるものがあります。輸出する貨物が規制品目に当たるかどうかを調べることを該非判定といいます。規制に当たれば、経済産業大臣の許可が必要です。ほかの法令で許可や承認が必要な貨物もあり、その場合は輸出申告の際に税関に証明します。
(5)次に、船会社に船のスペースを予約します。これを船腹予約(ブッキング)といい、通関業者や海貨業者を通じて行うのが一般的です。輸送中の事故に備えて、貨物に保険も掛けます。輸出規制は第2章、海上輸送は第7章、保険は第9章で学びます。
04輸送段階2. 輸出通関と船積み
貨物を保税地域に入れ、税関に輸出申告をして許可を受けてから船に積みます。その後、船会社が船荷証券(B/L)を発行します。
(6)準備が整ったら、貨物を保税地域に運び込みます。輸出申告は搬入前でもできますが、輸出の許可は原則として保税地域に搬入した後に出されます。申告には輸出申告書に仕入書(インボイス)などを添え、税関は必要に応じて書類審査や検査をします。多くの場合、申告は通関業者が代わりに行います。
(7)輸出許可を受けた貨物は船に積まれます。船会社は船荷証券(B/L)を発行します。B/Lは船積書類の中心となる書類で、輸入地ではその原本がないと貨物を引き取れません。B/Lや輸出許可書などの船積書類は、通関業者を通じて輸出者に届きます。輸出通関は第10章、B/Lは第7章で学びます。
05決済段階。船積書類で代金を回収する
信用状取引では、為替手形に船積書類を添えて銀行に持ち込み、買い取ってもらうことで代金を受け取ります。書類が条件どおりであることが前提です。
(8)機械メーカーは、代金を請求する為替手形にB/Lなどの船積書類を添えて、取引銀行に持ち込みます。これを荷為替手形といい、銀行がこれを買い取ることで、輸出者は代金を受け取れます。書類は、信用状の有効期限内で、原則として船積み後21日以内に提示します。
書類が信用状の条件と少しでも違うと、発行銀行の支払いの約束は効かなくなり、銀行は原則として買い取りに応じません。この食い違いをディスクレパンシーと呼びます。書類づくりの正確さが、そのまま代金回収に直結します。
信用状を使わず、前払いや後払いの送金で決済する取引もあります。決済方法は第5章、船積書類の確認ポイントは第11章で学びます。次のレッスンでは、反対側の輸入の流れを見ていきます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
取引先が代金を払えるか、信用できる相手かを調べること。
売買の条件を示して取引を申し込むこと。相手が承諾すると契約が成立する。
条件どおりの書類が提示されれば、発行銀行が支払いを約束する書類。
輸出する貨物や技術が、外為法の規制対象に当たるかどうかを判定すること。
貨物を積むため、船会社に船のスペースを予約すること。
船会社が発行する船積書類の中心。輸入地では原則としてその原本がないと貨物を引き取れない。
代金を請求する為替手形に、B/Lなどの船積書類を添えたもの。
提示した書類が信用状の条件と食い違っていること。
出典
- 税関「5001 輸出通関手続の概要(カスタムスアンサー)」
- 税関「5501 税関で確認する輸出関係他法令の概要(カスタムスアンサー)」
- ジェトロ「貿易の流れ」(図解・貿易のしくみ)
- ジェトロ「貿易実務の流れ」(輸出における書類と情報および貨物の流れ)
- ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「輸出における代金回収等留意点:日本」
- ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「輸出における安全保障貿易管理の規制品目・内容に対する該非の確認方法:日本」
- ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「信用状取引の特徴および信用状で使用される用語の解釈:日本」
- ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「L/Cの有効期限と呈示期限:日本」
- ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「信用状条件との不一致がある船積書類の銀行買取の可否:日本」
- ジェトロ「貿易・投資相談Q&A 船荷証券(B/L)の原本がなくても貨物を引き取れるか」
LESSON 1-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. 日本から貨物を輸出するときの、輸出の許可のタイミングとして正しいものはどれですか。
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正解: 1. 原則として、貨物を保税地域に搬入した後に許可される
輸出申告は搬入前でもできますが、輸出の許可は原則として貨物を保税地域に搬入した後に出されます。許可を受けた貨物が船に積まれます。
Q2. 輸出する機械が外為法の規制対象に当たるかどうかを調べることを何といいますか。
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正解: 2. 該非判定
規制品目に当たるかを調べることを該非判定といいます。船腹予約は船のスペースの予約、信用調査は取引先の信用を調べることです。
Q3. 信用状取引で、輸出者が代金を回収する方法として正しいものはどれですか。
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正解: 3. 為替手形にB/Lなどの船積書類を添えて銀行に持ち込み、買い取ってもらう
為替手形に船積書類を添えた荷為替手形を銀行に提示し、買い取ってもらうことで代金を受け取ります。書類が信用状の条件と食い違うと、原則として買い取りに応じてもらえません。
レッスン1-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。