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第6章 外国為替 ・ レッスン6-3

為替予約で為替リスクを避ける。先物相場と使い方

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン6-2から

Q1. A社が8万ドルの輸出契約を結びました。契約時は1ドル=150円、代金を円に換える時は1ドル=145円でした(説明のための例)。受け取る円は、契約時の見込みと比べてどうなりますか。

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正解: 3. 40万円減る
見込みは8万ドル×150円=1,200万円、実際は8万ドル×145円=1,160万円です。円高で40万円減ります。

レッスン5-5から

Q2. 輸出者が持ち込んだ荷為替手形を、銀行が買い取る場合の説明として正しいものはどれですか。

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正解: 3. 銀行が代金の回収を待たずに輸出者へ支払い、立て替えた期間の金利がかかる
買取では、銀行が取立ての完了を待たずに輸出者へ支払います。立替えなので金利がかかり、通常の買取では、不払いのとき銀行は輸出者に買戻しを求める権利を持っています。

このレッスンの学習目標

要点

  1. 為替予約(先物為替予約)とは、将来の特定の日や期間に外貨を受け払いするときの為替レートを、あらかじめ銀行と決めておく取引のことです。
  2. 直物相場は当日中の受け払いに使う相場で、先物相場は将来の受け払いのために予約する相場です。先物相場は直物相場に2通貨の金利差などを反映して決まります。
  3. 輸出者は受け取る外貨の、輸入者は支払う外貨の円の金額を、予約した時点で確定できます。その代わり、相場が有利に動いても得はできません。
  4. 予約の実行日の決め方には、特定の日を決める確定日渡しと、一定の期間を決める期間渡し(暦月渡しなど)があります。
  5. 為替予約は原則として取り消せず、期日に実行する義務があります。予約しない選択権を残したい場合は、プレミアムを払う通貨オプションという方法もあります。

01為替予約とは。将来のレートをいま決めておく取引

為替予約とは、将来に外貨を受け払いするときの為替レートを、いま銀行と決めておく取引です。契約の時点で、円に換えた金額が確定します。

レッスン6-2では、ドル建ての取引では、契約から代金の受け払いまでの間に相場が動き、円の金額が変わることを学びました。この為替リスクを避ける代表的な方法が為替予約です。正式には先物為替予約といいます。

ジェトロの説明では、先物為替予約は企業と銀行の間の取引です。将来の特定の日か一定の期間を決め、そのときに外貨を受け払いするレートを契約しておきます。「予約」という名前ですが、銀行との取引上は外貨の売買取引とされています。

このレッスンでは、日本の部品メーカーA社がアメリカに部品をドル建てで輸出し、代金を3か月後に受け取る例で考えます。数字はすべて説明のための例で、実際の相場ではありません。

02直物相場と先物相場。先物相場は金利差を反映して決まる

直物相場は当日中の受け払いに使う相場、先物相場は将来の受け払いのために予約する相場です。先物相場は直物相場をもとに、2通貨の金利差などを反映して決まります。

直物相場(じきものそうば)とは、銀行と顧客の取引では、当日中に外貨を受け払いするときの相場です。レッスン6-1で学んだTTSやTTBは、この直物相場です。先物相場(さきものそうば)とは、将来の日や期間に受け払いすることを前提に、あらかじめ決めておく相場です。

ジェトロによると、銀行が示す先物相場は、市場の直物相場がもとになります。そこに2つの通貨の金利差を反映した差額(スプレッド)と、銀行のマージンを加えて決まります。日本銀行の解説では、ドルの金利が円より高いと、先物相場は直物相場よりドル安・円高になります。これをドル・ディスカウントといいます。

つまり、先物相場は「将来の相場の予想」ではありません。予約する日の直物相場と金利差から決まる値です。予約に使える相場は、取引銀行に確認します。

03輸出者と輸入者の使い方。数字の例で見る

輸出者は受け取る外貨を円に換えるレートを、輸入者は支払う外貨を円で買うレートを予約します。予約の時点で円の金額が確定し、後の相場の動きに左右されなくなります。

A社は10万ドルの輸出契約を結び、代金は3か月後に受け取ります。ここで、3か月後に10万ドルを円に換えるレートを、1ドル=145円で予約したとします(説明のための例)。A社が受け取る円は、10万ドル×145円で1,450万円に確定します。

3か月後に相場が1ドル=135円の円高になっていても、A社は予約どおり1,450万円を受け取れます。予約しなければ1,350万円で、100万円少なくなるところでした。反対に1ドル=155円の円安になっても、受け取るのは1,450万円です。予約しなければ得られた100万円は手に入りません。

輸入者も同じように使えます。たとえば、3か月後に5万ドルを支払う輸入者がいるとします。1ドル=150円でドルを買う予約をすれば、支払う円は750万円に確定します(説明のための例)。ジェトロは、為替予約の最も重要な目的は、受け取る外貨や支払う外貨に対する円の金額を確定させることだとしています。

04実行日の決め方。確定日渡しと期間渡し

予約の実行日の決め方には、特定の日を決める確定日渡しと、一定の期間を決める期間渡しがあります。決済日がはっきりしないときは期間渡しが便利です。

確定日渡しとは、「11月14日渡し」のように、予約を実行する日を特定する方法です。輸入ユーザンスの期日など、外貨を受け払いする日があらかじめ決まっている取引で使われます。

期間渡しとは、予約を実行する期間を決める方法です。たとえば「7月渡し」のように暦の月で決めるものを暦月渡しといい、その月の銀行営業日ならいつでも実行できます。月をまたぐ任意の期間を決める方法もあります。

ジェトロによると、期間渡しは、その期間中なら何回かに分けて実行することもできます。入金が数日ずれそうな取引や、分割して船積みする取引で便利です。

05注意点。原則として取り消せない

為替予約は原則として取り消せず、期日に実行する義務があります。銀行の審査も必要です。選択の余地を残したい場合は、通貨オプションという方法もあります。

ジェトロによると、為替予約は一度結ぶと原則として取り消せません。予約した金額は、決めた日や期間の中ですべて使い切る必要があり、使い切れない分は取り消しの手続きをとります。予約したレートのまま期日を延ばすことも、基本的には認められません。

そのため銀行は、予約を結ぶ前に、顧客が予約を実行できるかを審査します。取引が遅れそうなときは、早めに取引銀行に相談することが大切です。なお、ジェトロによると、為替予約には手数料のような直接的な費用は必要ありません。

予約の実行日に相場が有利になっていても、それを理由に取り消すことはできません。これを避けたい場合の方法に、通貨オプションがあります。決めた価格で外貨を売買する権利を買う取引で、有利なときは権利を放棄できます。その代わり、プレミアムと呼ばれる代金を前もって支払います。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

為替予約(先物為替予約)Forward exchange contract

将来の特定の日や期間に外貨を受け払いするときの為替レートを、あらかじめ銀行と決めておく取引。

直物相場Spot rate

銀行と顧客の取引では、当日中に外貨を受け払いするときに使う相場。

先物相場Forward rate

将来の日や期間に外貨を受け払いするために、あらかじめ決めておく相場。直物相場に2通貨の金利差などを反映して決まる。

確定日渡しFixed date delivery

「11月14日渡し」のように、予約を実行する日を特定する為替予約。

期間渡しPeriod delivery

予約を実行する期間を決める為替予約。暦の月で決める暦月渡しなどがある。

暦月渡しCalendar month delivery

「7月渡し」のように暦の月で決める期間渡し。その月の銀行営業日ならいつでも実行できる。

通貨オプションCurrency option

外貨を将来の一定時期に決めた価格で売買する権利を売買する取引。買い手はプレミアムを払い、有利なときは権利を放棄できる。

出典

  1. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「先物為替予約の種類と利用にあたっての留意点:日本」
  2. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「外国為替取引における先物予約と通貨オプションの違い」
  3. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「為替レートの決定方法」
  4. ジェトロ「国内取引との違い その2」(図解・貿易のしくみ)
  5. 日本銀行「『外国為替市況』の解説」

LESSON 6-3 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. 輸出者A社は、3か月後に受け取る20万ドルを1ドル=140円で円に換える為替予約をしました(説明のための例)。予約の実行日の直物相場が1ドル=130円だった場合、A社が受け取る円はいくらですか。

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正解: 2. 2,800万円
為替予約をすると、実行日の相場に関係なく、予約したレートで交換します。20万ドル×140円で2,800万円です。予約しなければ2,600万円になるところでした。

Q2. 為替予約と通貨オプション(オプションを買う場合)の違いとして、正しいものはどれですか。

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正解: 3. 為替予約は、実行日の相場が有利になっていても原則として取り消せない
為替予約は原則として取り消せず、期日に実行する義務があります。通貨オプションの買い手は、プレミアムを支払う代わりに、有利なときは権利を放棄できます。

Q3. 分割して船積みする予定で、代金の入金日もはっきりしない輸出取引に向いている為替予約の決め方はどれですか。

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正解: 1. 期間渡し(暦月渡しなど)
期間渡しは、決めた期間中ならいつでも、また何回かに分けて実行できます。入金日がずれそうな取引や分割船積みの取引に便利です。確定日渡しは実行日が1日に決まります。

レッスン6-3はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第6章 外国為替 のレッスン一覧
  1. 6-1為替相場の読み方
  2. 6-2為替リスクと円高・円安
  3. 6-3為替予約のしくみ

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