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第6章 外国為替 ・ レッスン6-2為替リスクとは。円高・円安が貿易に与える影響
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. 「本日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=○○円」というニュースの相場について、正しいものはどれですか。
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正解: 2. 通常は、金融機関どうしのインターバンク取引の相場を指している
ニュースの円相場は、通常はインターバンク取引の相場です。企業が銀行と取引するときは、これに銀行のマージンを加えた対顧客相場が使われます。変動相場制では、相場は誰かが一方的に決めるものではありません。
Q2. A社はタイのB社に、信用状なしのD/A条件で機械を輸出しました。B社が船積書類を受け取れるのはどの時点ですか。
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正解: 3. 期限付きの手形を引き受けた時点
D/A(引受渡し)では、輸入者が期日に支払うと約束して手形を引き受けると、船積書類が渡されます。代金を払うと渡されるのはD/P(支払渡し)です。
このレッスンの学習目標
- 為替リスクとは何か、なぜ貿易で生じるのかを説明できる
- 円高・円安が輸出者と輸入者の円の金額にどう影響するかを計算できる
- 契約の通貨によって誰が為替リスクを負うかと、主な減らし方がわかる
要点
- 為替リスクとは、契約から代金の決済までの間に為替相場が動き、円に換えた金額が変わるリスクのことです。
- 1ドル=150円が140円になるのは円高、160円になるのは円安です。数字が小さくなるほうが円高です。
- ドル建ての取引では、円高になると輸出者の受け取る円が減り、円安になると輸入者の支払う円が増えます。
- 円建てで契約すれば日本側は為替リスクを負いませんが、その分、相手が為替リスクを負います。
- 外貨建てにする場合は、為替予約や、外貨の受け取りと支払いを釣り合わせる為替マリーなどで備えます。
01為替リスクとは。円に換えた金額が変わるリスク
為替リスクとは、契約から代金の決済までの間に為替相場が動き、円に換えた金額が変わるリスクです。外国の通貨で取引すると生じます。
為替相場とは、円とドルなど、異なる通貨を交換するときの比率のことです。為替相場は通貨の需要と供給で決まり、日々変動しています。
貿易では、契約を結んでから、船積みを経て代金を決済するまでに時間がかかります。その間に相場が動くと、同じ10万ドルでも円に換えた金額が変わります。ジェトロは、変動が激しいと売買の利益がなくなる可能性もあるとしています。
このレッスンでは、銀行の手数料や、買うときと売るときの相場の違いは考えず、1つの相場で計算します。銀行が実際に使う相場の読み方は、レッスン6-1で学びます。
02円高・円安とは。数字が小さくなるのが円高
円高とは円の価値が他の通貨に比べて高い状態、円安とは低い状態です。1ドル=150円が140円になれば円高、160円になれば円安です。
日本銀行は、円高を、円1単位で交換できる他の通貨の単位数が相対的に多い状態と説明しています。円安はその逆で、交換できる単位数が少ない状態です。
たとえば、相場が1ドル=150円から140円になったとします(説明のための例です)。1ドルを買うのに必要な円が10円減ったので、円の価値が上がった、つまり円高です。表示の数字が小さくなるのに円高と呼ぶので、逆に覚えないよう注意しましょう。反対に、1ドル=160円になれば円安です。
03輸出者と輸入者への影響。計算例で確かめる
ドル建ての取引では、円高になると輸出者の受け取る円が減り、円安になると輸入者の支払う円が増えます。相場が逆に動けば、それぞれ有利になります。
日本の機械メーカーA社が、タイのB社に機械を10万ドルで輸出する例で考えます(相場はすべて説明のための例です)。契約時が1ドル=150円なら、A社は1,500万円を受け取れる見込みです。
代金を受け取るときに1ドル=140円の円高になっていると、円に換えた金額は1,400万円です。見込みより100万円減ります。費用を1,450万円と見積もっていたなら、50万円の利益のはずが50万円の赤字になります。逆に160円の円安なら、1,600万円に増えます。
輸入者は反対です。日本の家具店C社が、5万ドルの家具を輸入するとします。1ドル=150円なら支払いは750万円ですが、支払うときに160円の円安になると800万円です。50万円多く払うことになります。全国銀行協会も、円安のデメリットとして外国製品が高くなることを挙げています。
04誰がリスクを負うかは契約の通貨で決まる
円建ての契約なら、日本の輸出者は為替リスクを負いません。その代わり、円が自国の通貨ではない相手が為替リスクを負います。
ジェトロは、自国の通貨と異なる通貨で取引すると為替の変動リスクが生じるとしています。レッスン3-3で見たとおり、円建てならA社は為替リスクを負いません。ただしB社は、自国の通貨であるタイバーツを円に換えて払うため、B社の側にリスクが移ります。
ドル建てなら、A社は円とドルの間の、B社はバーツとドルの間の為替リスクを負います。ジェトロは、輸入者にはドルやユーロなどの基軸通貨での価格提示がわかりやすいとしています。基軸通貨とは、国際的な取引で広く使われる通貨のことです。
輸入では立場が逆になります。ジェトロは、日本の輸入者には為替リスクのない日本円が最適としています。ただ、海外の売り手には円がリスクになるため、円建てに応じてもらえるとは限りません。通貨は交渉で決めます。
05為替リスクを減らす方法
最も確実なのは円建てで契約することです。外貨建てにする場合は、為替予約や、外貨の受け取りと支払いを釣り合わせる方法などで備えます。
ジェトロは、取引通貨を自国通貨にするのが確実で、難しければ為替予約などの方法があるとしています。為替予約とは、将来の一定の期日に、一定の為替相場で外貨を売買する契約です。A社が契約時に予約しておけば、その後に円高になっても予約した相場で円に換えられます。しくみと注意点はレッスン6-3で学びます。
外貨の受け取りと支払いを釣り合わせる方法もあります。ジェトロの貿易実務の解説では、輸出で受け取る外貨と輸入で支払う外貨を釣り合わせる為替マリーが紹介されています。輸出代金を外貨預金に入れ、輸入代金の支払いに充てる方法もその一つです。外貨のまま使う分は、円に換える必要がありません。
価格の示し方も大切です。ジェトロは、外貨で輸出価格を示すときは、計算に使った交換レートと価格の有効期限を価格表に書くよう勧めています。また中小機構は、商社を通す間接輸出なら、為替リスクや代金回収なども商社が代行するとしています。その分、商社に払う中間マージンがかかります。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
円とドルなど、異なる通貨を交換するときの比率。通貨の需要と供給で決まり、日々変動する。
契約から代金の決済までの間に為替相場が動き、自国の通貨に換えた金額が変わるリスク。
円の他の通貨に対する価値が相対的に高い状態。1ドル=150円が140円になるような動き。
円の他の通貨に対する価値が相対的に低い状態。1ドル=150円が160円になるような動き。
取引の価格や代金を、円で決めるか、ドルなどの外国の通貨で決めるかの区別。
将来の一定の期日に、一定の為替相場で外貨を売買する契約。くわしくはレッスン6-3。
輸出で受け取る外貨と輸入で支払う外貨を釣り合わせ、円への交換を減らして為替リスクを抑える方法。
出典
LESSON 6-2 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. 為替相場が1ドル=150円から1ドル=140円になりました(説明のための例)。正しい説明はどれですか。
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正解: 2. 1ドルを買うのに必要な円が減ったので、円高になった
1ドルに必要な円が150円から140円に減ったので、円の価値が上がった円高です。数字が小さくなるのに円高と呼ぶ点に注意しましょう。
Q2. A社が8万ドルの輸出契約を結びました。契約時は1ドル=150円、代金を円に換える時は1ドル=145円でした(説明のための例)。受け取る円は、契約時の見込みと比べてどうなりますか。
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正解: 3. 40万円減る
見込みは8万ドル×150円=1,200万円、実際は8万ドル×145円=1,160万円です。円高で40万円減ります。
Q3. 日本の輸出者A社が、為替リスクを負わずに済む契約の通貨はどれですか。
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正解: 1. 日本円
円建てなら、A社は受け取った代金を円に換える必要がないため、為替リスクを負いません。その代わり、円を用意して払う輸入者の側が為替リスクを負います。
レッスン6-2はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。