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第3章 取引先探しと売買契約 ・ レッスン3-1取引先の探し方と信用調査。契約の前に相手を確かめる
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-03
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. 日本の会社(大阪に営業所)と韓国の会社(ソウルに営業所)が、機械部品の売買契約を結びました。両国とも締約国で、契約で条約を排除していません。正しいものはどれですか。
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正解: 2. 原則としてウィーン売買条約が自動的に適用される
営業所が異なる締約国にある当事者間の物品売買には、原則として条約が自動的に適用されます(第1条)。適用を望まない場合は契約で排除します(第6条)。
Q2. 輸出令別表第1の1〜15項に当たる貨物を輸出する場合について、正しいものはどれですか。
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正解: 2. 輸出先がどの国であっても、事前に経済産業大臣の許可が必要
リスト規制の対象品目は、仕向地がどの国であっても、事前に経済産業大臣の許可を受ける必要があります。
このレッスンの学習目標
- 海外の取引先を探す主な方法を3つ以上挙げられる
- 信用調査で調べる項目と、直接調査・間接調査の違いを説明できる
- 信用調査の結果を、取引の規模や決済条件の選び方に生かす考え方がわかる
要点
- 信用調査とは、取引を始める前に、相手が代金を払える信用できる会社かを調べることです。
- 取引先は、展示会・商談会への出展、ビジネスマッチングサイト、企業データベースなどで探します。
- 信用調査では、会社の基本情報・財務内容・販売力・設備や技術の水準などを調べます。
- 調べ方には、相手から直接情報を得る直接調査と、信用調査機関・銀行・同業者などから得る間接調査があります。
- 問題が見つからなくても小口の取引から始め、相手の信用に合わせて決済条件を選びます。
01取引先の探し方。展示会・マッチングサイト・データベース
海外の取引先は、展示会・商談会に出展するか、ビジネスマッチングサイトや企業データベースで探すのが代表的な方法です。
代表的なのは展示会・商談会です。展示会は見本市とも呼ばれ、国内外で業種ごとに開かれています。見本市では、その場で商談がまとまることもあります。来場者の反応を聞き、商品づくりに生かす場にもなります。
インターネットでも探せます。ジェトロ(日本貿易振興機構)は、国際ビジネスマッチングサイト「e-Venue」を運営しています。相手を検索するだけでなく、自社の案件を登録して相手からの連絡を待つこともできます。世界の見本市は、ジェトロのデータベース「J-messe」で業種や開催国から調べられます。
ジェトロの国内事務所などでは、世界の企業情報を載せたデータベースも使えます。輸出先の市場をよく知る現地の商社や輸入業者、代理店を見つけ、複数の候補と実際に会い、交渉を重ねて選びます。
02なぜ信用調査が必要なのか
外国の相手は訪ねて確かめるのが難しく、代金が払われないリスクがあります。契約の前に信用調査をして、そのリスクを小さくします。
第1章で見たとおり、貿易には「商品を送ったのに代金が払われない」というリスクがあります。これを信用リスクといいます。ジェトロも、取引の前に相手企業の信頼性を確認するよう勧めています。
なかには、最初から詐欺を目的とした連絡もあります。ジェトロは、面識のない相手からの「緊急かつ極秘の取引」や、大量注文を口実にサンプルを求める連絡に注意を呼びかけています。うまい話ほど、相手をよく確かめることが大切です。
相手の国そのものの事情にも目を向けます。相手の国の政治や経済の事情によるリスクを、カントリーリスクといいます。個々の会社のリスクを上回る大きなリスクなので、常に注意が必要です。
03信用調査で何を調べるのか
主に、会社の基本情報・財務内容・販売力・設備や技術の水準の4つを調べます。すべては集められなくても、できる範囲で調べて総合的に判断します。
1つ目は一般情報です。業種、設立の時期、所在地、従業員数、取引銀行、経営者の評判、係争(もめごと)の有無などを調べます。2つ目は財務内容で、売上高、利益、資本金、負債、支払い条件などを確かめます。
3つ目は販売力で、販売の組織や流通網、ブランドの有無などです。4つ目は設備や技術の水準で、工場の設備、品質管理の方法、特許の有無などを見ます。取引の内容によっては、調べなくてよい項目もあります。
相手が制裁の対象でないかも確かめておきたい点です。財務省は、外為法に基づく資産凍結等の措置の対象者リストを公表しています。
04信用調査の方法。直接調査と間接調査
相手から直接情報を得る直接調査と、信用調査機関・銀行・同業者など第三者から情報を得る間接調査を組み合わせます。
直接調査では、まず会社案内やホームページで情報を集めます。必要に応じて相手を訪問し、経営者と面談して工場などを見せてもらいます。できれば決算書(監査済みのものが望ましい)や事業計画ももらいます。
間接調査で最も一般的なのは、信用調査会社などの信用調査機関に調べてもらう方法です。取引銀行を通じて情報を得る方法(銀行照会)や、同業者・取引先から情報を得る方法(同業者照会)もあります。会社の登記や、上場企業なら株式市場の情報も確認します。
日本貿易保険(NEXI)は、海外の取引先を格付けした「海外商社名簿」を作っています。相手が載っていれば、その格付けを知ることができます。保険利用者登録をした企業には、この情報を無料で一覧で提供しています。
05調査結果の生かし方。小口から始め、決済条件を選ぶ
問題がなさそうな相手でも、まず小口の取引から始めて様子を見ます。相手の信用の度合いに合わせて、決済方法や保険を選びます。
集めた情報を総合的に検討し、取引できるかを判断します。優良な相手と判断できても、最初は小口の取引から始めます。相手の対応を見ながら、少しずつ取引の額を広げていくのが慎重な進め方です。
信用の度合いは、決済方法の選び方にもつながります。全額を前受けで受け取れば回収リスクはありません。一方、商品を送った後に送金を受ける後受けはリスクが高く、信用が確認された相手以外は原則避けるべきとされます。決済方法は第5章で学びます。
代金が回収できない場合に備える手段として、NEXIの貿易保険もあります。貿易保険は第9章で学びます。次のレッスンでは、見つけた相手と条件を出し合う引合い・オファーの流れを見ていきます。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
取引を始める前に、相手が代金を払える信用できる会社かを調べること。
業種ごとに企業が商品を展示し、商談や情報収集を行う催し。
取引先が代金を払わない、または払えなくなるおそれ。
相手国の政治や経済の事情によって、取引に損失が出るおそれ。
取引銀行を通じて、相手企業の信用に関する情報を得ること。
同業者や相手の取引先から、相手企業の信用に関する情報を得ること。
日本貿易保険(NEXI)が作る海外の取引先の名簿。各社の格付けが付いている。
出典
- ジェトロ「ステップ別支援メニュー:輸出先・取引先探し」
- ジェトロ「FAQ(よくある質問)」(取引先探し・見本市・不審なメール)
- ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「輸出における代金回収等留意点:日本」
- J-Net21(中小企業基盤整備機構)「輸出先の内容や財務内容は、どのように把握したらよいでしょうか?」
- J-Net21(中小企業基盤整備機構)「海外輸出をしたいのですが、どのようにすればよいのでしょうか。」
- J-Net21(中小企業基盤整備機構)中小企業の海外展開入門「STEP2 販路開拓へ入念な準備」
- 日本貿易保険(NEXI)用語集「海外商社名簿、海外商社登録(=バイヤー登録)」
- 日本貿易保険(NEXI)「海外商社名簿の一覧化による格付情報提供サービス開始について」
- 財務省「経済制裁措置及び対象者リスト」
LESSON 3-1 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. 信用調査の方法のうち、「間接調査」に当たるものはどれですか。
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正解: 2. 取引銀行を通じて、相手の信用に関する情報を得る
銀行照会のように、第三者から情報を得るのが間接調査です。訪問・面談や決算書を相手から直接もらうのは直接調査です。
Q2. 初めて取引する海外の相手について、信用調査で特に問題が見つからなかった場合の進め方として、適切なものはどれですか。
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正解: 3. まず小口の取引から始め、様子を見ながら取引の額を広げる
問題が見つからなくても、最初は小口の取引から始め、相手の対応を見ながら少しずつ取引を広げるのが慎重な進め方です。
Q3. 面識のない海外の相手から「緊急かつ極秘の大口取引」をもちかけられ、サンプルの送付を求められました。対応として適切なものはどれですか。
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正解: 1. 詐欺の可能性も考え、相手をよく確かめてから判断する
ジェトロは、面識のない相手からの緊急・極秘をうたう取引や、サンプルを要求する連絡に注意を呼びかけています。相手をよく確かめることが大切です。
レッスン3-1はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。