HOME / ゼロから学ぶ貿易実務 / 講座 / 第13章 貿易実務英語 / 英文売買契約書を読む

第13章 貿易実務英語 ・ レッスン13-2

英文の売買契約書を読む。構成とshall・mayの意味

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン13-1から

Q1. 船積みの連絡に"ETA Sydney: Oct. 25"とありました。正しい意味はどれですか。

答えを見る

正解: 3. 10月25日にシドニーに到着する予定
ETAはEstimated Time of Arrival、到着予定日時です。出発予定はETD、実際の到着日時はATAと書きます。

レッスン12-1から

Q2. 国際海上物品運送法で、すぐに発見できない損傷を運送人に通知する期限はどれですか。

答えを見る

正解: 1. 受取の日から3日以内
損傷は受取の際に書面で通知するのが原則で、すぐに発見できない損傷は受取の日から3日以内の通知で足ります。1年は、裁判上の請求をしないと運送人の責任が消滅する期間です。

このレッスンの学習目標

要点

  1. 英文の売買契約書を読むとは、前文・本文・末尾という構造をつかみ、条項ごとに誰に何の義務や権利があるかを読み取ることです。
  2. 本文には、品質・価格・支払い・船積みなどの個別条項と、不可抗力・準拠法・仲裁などの一般条項が並びます。
  3. 契約書のshallは「〜しなければならない」という義務、mayは「〜することができる」という権利を表します。
  4. provided thatは例外や条件を加える「ただし書き」、notwithstandingは「〜にかかわらず」という意味です。
  5. 主語と助動詞に印を付け、例外を示す語を見落とさないことが、読み間違いを防ぐコツです。

01英文の売買契約書の全体構造

英文の売買契約書は、前文・本文・末尾の3つに分けて読むと全体がつかめます。条項が並ぶのは本文で、契約書には当事者が署名します。

ジェトロの英文契約の講座は、英文契約書を「前文」「本文」「末尾」に分けて全体構造を学ぶ構成です。まずこの3つの区切りを探すと、長い契約書でも迷いにくくなります。

冒頭の"ABC Co., Ltd. (hereinafter referred to as 'Seller')"は「ABC社(以下「売主」という)」という意味です。以後、ABC社はSellerと呼ばれます。WHEREASで始まる冒頭の説明条項に、契約の目的などを書くこともあります。

ジェトロの資料は、各当事者が契約書に署名し、変更がなくても各ページに頭文字(イニシャル)を書くとよいとしています。後からの改ざんを防ぐためです。

02本文に並ぶ主な条項

本文には、取引ごとに決める個別条項と、どの取引にも共通する一般条項が並びます。英語の見出しを見れば、どの条項かがわかります。

ジェトロの講座は、売買契約の個別条項として次のような見出しを挙げています。Quality(品質)、Quantity(数量)、Packing(梱包)、Inspection(検査)です。さらにPrice(価格)、Payment(支払い)、Shipment(船積み)、Warranty(保証)などが続きます。中身の決め方はレッスン3-3で学びました。

一般条項には、Term(契約期間)、Termination(契約解除)、Force Majeure(不可抗力)などがあります。Notice(通知)、Governing Law(準拠法)、Arbitration(仲裁)も一般条項です。不可抗力や仲裁の考え方は、レッスン3-4を見直してください。

03shallとmay。義務と権利を読み分ける

契約書のshallは主語の義務を、mayは主語の権利を表します。shallを「〜でしょう」という未来の意味で読まないことが大切です。

"Buyer shall pay the price within 30 days."は「買主は30日以内に代金を支払わなければならない」という意味です。法務省の法令用語の対訳辞書でも、「するものとする」はshall、「することができる」はmayと訳されています。

"Seller may cancel the order."は「売主は注文を取り消すことができる」という意味で、取り消すかどうかは売主が選べます。否定形のshall notは「〜してはならない」という禁止です。

"shall use reasonable efforts to"は「〜するよう合理的な努力をする」という意味です。ジェトロの資料は、これを結果まで約束しない努力義務の規定として紹介しています。

04条件と例外を示す4つの表現

subject toは「〜を条件として」「〜に従う」、provided thatは「ただし」、in accordance withは「〜に従って」、notwithstandingは「〜にかかわらず」です。

"The order is subject to Seller's written acceptance."は「注文は、売主の書面による承諾を条件とする」という意味です。ジェトロの資料にも、注文に売主の承諾を条件とする規定の例があります。

"Seller shall ship in May; provided, however, that Buyer may request June shipment."は「売主は5月に船積みする。ただし、買主は6月の船積みを求めることができる」です。provided以下が例外なので、必ず最後まで読みます。

"FOB shall be interpreted in accordance with Incoterms 2020."は「FOBはインコタームズ2020に従って解釈する」という意味です。"Notwithstanding Article 5, ..."は「第5条の規定にかかわらず」で、他の条項より優先させたいときに使われます。

05英文契約書を読むときのコツ

最初に条項の見出しで全体を見渡し、次に各文の主語と助動詞に印を付けます。ただし書きや「〜にかかわらず」の後ろは、特に注意して読みます。

1文が長くても、主語とshall・mayを先に探せば、誰の義務か権利かがわかります。"Seller"のように前文で決めた呼び名は、契約書全体でその意味で使われます。

例外を示すprovided thatやnotwithstandingは、読み落とすと意味が逆になることがあります。重要な単語や略語はレッスン13-1、信用状の英文はレッスン13-3で学びます。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

前文Preamble

英文契約書の冒頭部分。契約書は前文・本文・末尾の3つに分けて読むとわかりやすい。

説明条項Whereas clause

WHEREASで始まる、契約書冒頭の説明の部分。契約の目的などを書く。

一般条項General provisions

契約期間・解除・不可抗力・準拠法・仲裁など、どの取引にも共通する条項。

義務を表すshallshall

契約書で「〜しなければならない」という主語の義務を表す助動詞。shall notは禁止を表す。

権利を表すmaymay

契約書で「〜することができる」という主語の権利や選択を表す助動詞。

ただし書きProviso (provided, however, that)

直前の内容に例外や条件を加える部分。英文ではprovided, however, thatで始まることが多い。

〜にかかわらずNotwithstanding

ほかの条項や規定があっても、この条項を優先させるときに使う表現。

努力義務Reasonable efforts

結果までは約束せず、合理的な努力をすることを約束する義務。shall use reasonable efforts toと書く。

出典

  1. ジェトロ「貿易実務オンライン講座 英文契約編」(英文契約書の前文・本文・末尾の構造、個別条項・一般条項の項目)
  2. ジェトロ大分貿易情報センター「OITA TRADE & VIEWS」貿易協会シリーズ Distribution Agreement(販売店契約)⑧(shall・may・subject to・reasonable effortsの英文規定例)
  3. ジェトロ大分貿易情報センター「OITA TRADE & VIEWS」vol.129・130(インコタームズを契約に組み込む約款例、説明条項(whereas clause))
  4. 法務省「法令用語日英標準対訳辞書(抜粋)」平成19年3月改訂版(shall・may・provided, however, that・notwithstanding・hereinafter referred to as)
  5. ジェトロ「英国法を準拠法とする契約書の作成と締結の注意点」(2015年。契約書への署名とイニシャル)

LESSON 13-2 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. 契約書の"Buyer shall pay the price within 30 days."の意味として正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 2. 買主は30日以内に代金を支払わなければならない
契約書のshallは主語の義務を表します。「〜することができる」という権利を表すのはmayです。

Q2. "Seller shall ship in May; provided, however, that Buyer may request June shipment."のprovided, however, that以下の役割はどれですか。

答えを見る

正解: 3. 直前の内容に例外を加える
provided, however, thatは「ただし」にあたるただし書きです。5月に船積みするという原則に、買主が6月を求められるという例外を加えています。

Q3. "Notwithstanding Article 5, Buyer may inspect the Products."の意味として正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 第5条の規定にかかわらず、買主は商品を検査することができる
notwithstandingは「〜にかかわらず」、mayは「〜することができる」です。第5条の内容があっても、この文を優先させる書き方です。

レッスン13-2はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第13章 貿易実務英語 のレッスン一覧
  1. 13-1商業英単語・略語
  2. 13-2英文売買契約書を読む
  3. 13-3英文の信用状
  4. 13-4コレスポンデンス

講座の目次(全14章)へ