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第11章 貿易書類 ・ レッスン11-3貿易手続きの電子化。NACCSとe-B/L
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. UCP600にもとづく信用状取引で、インボイスについて正しいものはどれですか。
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正解: 2. 受益者が発行し、信用状と同じ通貨で作成する
UCP600第18条aにより、インボイスは受益者が発行し、発行依頼人宛てに、信用状と同じ通貨で作成します。署名は必要ありません。
Q2. 保税蔵置場に外国貨物を置いておける期間として、正しいものはどれですか。
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正解: 2. 最初に置くことが承認された日から原則2年で、延長もできる
関税法第43条の2により、保税蔵置場に置ける期間は承認日から2年で、特別な事由があれば延長できます。原則1か月は指定保税地域の一時保管の目安です。
このレッスンの学習目標
- NACCSとは何か、誰が運営し、どんな手続に使うのかを説明できる
- インボイスなどの通関書類を、NACCSでPDFファイルとして提出できることがわかる
- 電子船荷証券記録(e-B/L)の考え方と、商法改正の現在の状況を説明できる
要点
- NACCSとは、船舶・航空機と輸出入貨物について、税関などへの手続と関連する民間業務をオンラインで処理するシステムのことです。
- NACCSは、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(NACCSセンター)が運営しています。
- NACCSには関係省庁のシステムも統合され、食品衛生や動植物検疫、港湾の手続も1つの窓口で行えます。
- インボイスなどの通関書類は、NACCSの申告添付登録(MSX)業務でPDFファイルとして提出できます。
- 紙の船荷証券を電子化する商法改正は、2024年9月に法制審議会が要綱を答申し、法務省が改正を予定しています。
01NACCSとは。税関と民間をオンラインでつなぐシステム
NACCSとは、船舶・航空機と輸出入貨物について、税関などへの手続と関連する民間業務をオンラインで処理するシステムです。NACCSセンターという株式会社が運営しています。
NACCS(ナックス)の正式名称は、輸出入・港湾関連情報処理システムです。入出港する船舶・航空機と、輸出入される貨物の手続を扱います。税関への申告だけでなく、関連する民間の業務も処理できます。
運営するのは、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(NACCSセンター)です。もとは認可法人や独立行政法人でしたが、2008年10月に株式会社になりました。
NACCSは、1978年に成田空港の航空貨物の輸入から始まりました。1991年には海上貨物向けのSea-NACCSも動き出し、のちに両方が統合されています。2025年10月からは、第7次NACCSが稼働しています。
02NACCSでできること。申告から港湾の手続まで1つの窓口で
NACCSでは、輸出入申告と許可、関係省庁への手続、港湾・空港の手続をまとめて行えます。税関は、輸出入許可の99.9%(2022年)を電子的に処理しています。
レッスン1-4で、輸入申告はNACCSで行うのが一般的だと学びました。NACCSでは、申告から許可の通知までがオンラインで進みます。申告の流れはレッスン10-1と10-2で学びます。
NACCSには、関係省庁のシステムも統合されています。たとえば食品衛生、動物や植物の検疫、経済産業省の貿易管理、国土交通省の港湾の手続です。1つの窓口で複数の手続ができることを、シングルウィンドウといいます。
税関の資料によると、輸出入許可の件数は2022年に約1億4,300万件で、税関はその99.9%を電子的に処理しています。2017年からは損害保険会社も利用者に加わり、港湾・空港の物流情報をまとめて扱う基盤になっています。
03通関書類の電子提出。インボイスもPDFで出せる
インボイスなどの通関書類は、NACCSの申告添付登録(MSX)業務で、PDFファイルとして税関に提出できます。この電子化・ペーパーレス化の制度は2013年に導入されました。
税関は、申告内容を審査するために、インボイスなどの書類を確認します。以前は紙で出していましたが、2013年に電子化・ペーパーレス化の制度が導入されました。いまはNACCSを通じて、電子データで出せます。
東京税関の資料では、書類のPDFファイルを申告に添付する業務を「申告添付登録(MSX)」と呼びます。書類には区分があり、仕入書(インボイス)はIV、パッキングリストはPL、船荷証券・航空運送状はBLです。インボイスとパッキングリストはレッスン11-1で学びます。
ただし、1つの申告で、電子での提出と紙での提出をまぜることはできません。また、他法令の許可書などは、原本の提出を求められることがあります。PDFの解像度は200dpi以上とされています。
04電子船荷証券(e-B/L)。紙のB/Lを電子化する商法改正
日本の商法では、船荷証券(B/L)は紙で発行することが前提です。B/Lを電子化する商法改正は、2024年9月に法制審議会が要綱を答申し、法務省が改正を予定しています。
レッスン7-3で学んだように、B/Lは貨物を引き取る権利を表す有価証券です。法務省によると、商法上、B/Lなどの有価証券は紙で発行することが求められています。
国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)は、2017年に電子的移転可能記録モデル法(MLETR)を作りました。B/Lのように譲渡できる書類を、電子でも同じように使えるようにするための、各国向けの法律のひな形です。
日本では、2024年9月9日に法制審議会が要綱を答申しました。電子化したB/Lを電子船荷証券記録と呼び、運送人は荷送人などの承諾を得て、B/Lの代わりに提供できます。裏書に代わる電子裏書や、紙のB/Lとの転換のルールも含まれます。
法務省の令和9年度の税制改正要望でも、この商法改正は「予定」とされています。まだ法律にはなっていないため、最新の状況は法務省の発表で確かめましょう。航空輸送のe-AWBはレッスン8-2で学びました。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
輸出入・港湾関連情報処理システム。船舶・航空機と輸出入貨物について、税関などへの手続と関連する民間業務をオンラインで処理する。
NACCSを運営する、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社。2008年10月に株式会社になった。
1つの窓口(システム)で、複数の省庁への手続をまとめて行えるしくみ。
NACCSの輸出入申告に、インボイスなどの通関書類のPDFファイルを添付する業務。
商法改正の要綱で、B/Lに書くべき事項を記録した一定の電磁的記録につけられた名前。
要綱で、紙のB/Lの裏書に代わるものとして定められた、電子船荷証券記録上の手続。
2017年にUNCITRALが作った、B/Lなど譲渡できる書類を電子で使えるようにする各国向けの法律のひな形。
出典
- NACCSセンター「事業概要」(NACCSの定義、Air-NACCSとSea-NACCSの統合、関係省庁システムの統合、第6次NACCS)
- NACCSセンター「会社概要」(輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社、2008年10月の株式会社化)
- NACCSセンター「会社沿革」(1978年Air-NACCS、1991年Sea-NACCS、2025年10月第7次NACCS稼働)
- 税関「税関発足150周年記念誌」税関手続の電子化(輸出入許可件数と電子処理の割合、2013年のペーパーレス化制度)
- 東京税関「通関関係書類の電磁的記録による提出に係る事務処理について」(MSX業務、書類区分、解像度、電子と紙の併用不可)
- 法務省「法制審議会第200回会議(令和6年9月9日開催)」(商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱の答申)
- 法務省 法制審議会商法(船荷証券等関係)部会資料16-1「商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案」
- 財務省「令和9年度税制改正要望事項(法務省民事局)船荷証券等の電子化に伴う所要の整備」(商法上の紙発行の前提、MLETR、商法改正の予定)
- UNCITRAL「UNCITRAL Model Law on Electronic Transferable Records (2017)」
LESSON 11-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. NACCSについて、正しいものはどれですか。
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正解: 2. 輸出入申告のほか、関係省庁や港湾の手続もまとめて行える
NACCSは税関手続と関連する民間業務をオンラインで処理し、関係省庁のシステムも統合されています。1978年に航空貨物の輸入から始まり、2025年10月からは第7次NACCSが稼働しています。
Q2. NACCSで輸入申告をするとき、インボイスの扱いとして正しいものはどれですか。
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正解: 1. 申告添付登録(MSX)業務で、PDFファイルとして提出できる
インボイスなどの通関書類は、MSX業務でPDFファイルとして提出できます。ただし、1つの申告で電子と紙の提出をまぜることはできません。
Q3. 日本の電子船荷証券(e-B/L)について、法務省の令和9年度税制改正要望の内容に合うものはどれですか。
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正解: 3. 法制審議会が要綱を答申し、法務省が商法改正を予定している
2024年9月9日に法制審議会が要綱を答申し、法務省は商法改正を予定しています。国際的には、UNCITRALが2017年にMLETRを作っています。
レッスン11-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。