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第11章 貿易書類 ・ レッスン11-1

インボイスとパッキングリスト。役割と記載事項

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン10-5から

Q1. 外国貨物を、関税などがかからない状態で加工・製造するための保税地域はどれですか。

答えを見る

正解: 3. 保税工場
保税工場は加工貿易の振興のための保税地域で、外国貨物を関税などがかからない状態で加工・製造できます。

レッスン10-3から

Q2. ある品目は基本税率20%、暫定税率の欄が空欄、WTO協定税率12%です。WTO加盟国の産品で、特恵やEPA税率を使わない場合、適用される税率はどれですか。

答えを見る

正解: 2. 12%
暫定税率がないので基本税率20%と協定税率12%を比べます。協定税率のほうが低いので、12%が適用されます。

このレッスンの学習目標

要点

  1. インボイス(商業送り状)とは、輸出者が輸入者に貨物の発送を知らせるために作る書類のことです。品名・数量・価格などを書きます。
  2. インボイスは代金の明細書と請求書を兼ねるため、別に請求書を出す必要はありません。通関では仕入書と呼ばれ、申告内容を確かめる基礎資料になります。
  3. パッキングリスト(包装明細書)は、インボイスを補う書類です。梱包の個数や、包装した後の重量・容積を書き、価格や決済の情報は通常書きません。
  4. 荷印や品名、数量などは、インボイス・パッキングリスト・B/Lなど複数の書類に出てきます。信用状取引では、書類どうしの食い違いがディスクレパンシーになります。

01インボイス(商業送り状)とは。明細書と請求書を兼ねる

インボイスとは、輸出者が輸入者に貨物の発送を知らせるために作る書類です。代金の明細書と請求書の役割を兼ね、通関では申告内容を確かめる基礎資料になります。

インボイス(Commercial Invoice)は、日本語で商業送り状といい、通関の場面では仕入書と呼ばれます。税関は、仕出国の荷送人が仕向国の荷受人に、貨物の発送を知らせるために作る書類と説明しています。荷送人は輸出者、荷受人は輸入者のことです。

ジェトロによると、インボイスは代金明細書と代金請求書の機能をあわせ持ちます。そのため、輸出者はインボイスとは別に請求書を出す必要はありません。輸出者は船積み後、B/Lやパッキングリストなどとともに輸入者へ送ります。

インボイスは輸出入の通関でも使われ、税関が申告の内容を確かめる基礎資料になります。通関手続の大まかな流れはレッスン1-3・1-4で見ました。くわしくはレッスン10-1・10-2で学びます。

02インボイスに書くこと

インボイスには一般に、品名・種類・数量・価格・代金支払方法と、荷送人・荷受人の住所と名前を書きます。荷印も記載します。

関税法基本通達によると、仕入書には一般に次の事項が書かれます。貨物の品名、種類、数量、価格、代金支払方法、荷送人と荷受人の住所と名前などです。単価と数量から合計金額を計算して書きます。

たとえば、1個15ドルの部品を200個売るなら、合計は3,000ドルです(説明のための例です)。合計が単価と数量に合っているか、通貨が契約どおりかを必ず確かめます。

インボイスには荷印も書きます。荷印とは貨物の外装に表示する記号や番号で、レッスン3-3で学びました。ジェトロは、荷印がインボイス、B/L、パッキングリスト、保険証券などの船積書類に記載されると説明しています。

03通関での仕入書。税関は提出を求めることができる

関税法第68条により、税関長は契約書や仕入書などの提出を求めることができます。輸入申告では、仕入書・包装明細書・B/Lなどの提出が必要とされています。

関税法第68条は、輸出入の許可の判断に必要なときに、税関長が契約書や仕入書などを提出させることができると定めています。関税法施行令第61条は、その書類として仕入書、運賃明細書、保険料明細書、包装明細書などを挙げています。

税関のカスタムスアンサーによると、輸入申告では申告書のほかに書類が必要です。仕入書、包装明細書、B/Lなどの運送書類、運賃明細書、保険料明細書などです。輸入では、こうした書類で関税をかける価格(課税価格)の計算の基礎を確かめます。

輸出申告でも、輸出申告書に仕入書などを添えて申告します。ジェトロによると、税関への仕入書の提出は、輸出許可の判断のために求められた場合のみです。ただし通関業者には、仕入書やパッキングリストを渡して申告を頼みます。

04パッキングリスト(包装明細書)とは

パッキングリストは、インボイスを補う書類です。梱包の個数や、包装した後の重量・容積を書きます。価格や決済の情報は通常書きません。

パッキングリスト(Packing List)は、日本語で包装明細書といいます。ジェトロによると、インボイスを補う書類で、貨物の個数、包装後の重量や容積を書きます。価格や決済に関する情報は通常書きません。インボイスと1つの書類で兼ねることもあります。

重量には、総重量(Gross Weight)と正味重量(Net Weight)があります。国土交通省の資料では、総重量は梱包材などを含む貨物の合計の重さです。正味重量に梱包材の重さを足すと、総重量になります。容積(Measurement)は貨物の大きさのことで、運賃の計算にも関わります(レッスン7-4)。

パッキングリストは通関の検査でも役立ちます。関税法基本通達では、包装ごとの内容と数量が包装明細書などに書かれた貨物について定めがあります。一部の梱包を検査して、全体を確かめる方法がとれます。

05書類どうしを一致させる。信用状取引での注意点

信用状取引では、インボイスやパッキングリストの記載が、信用状や他の書類と食い違ってはいけません。インボイスは原則として発行依頼人(輸入者)を名宛人にして作ります。

信用状統一規則(UCP600)第14条dによると、書類のデータは同じである必要はありません。ただし、信用状や他の書類のデータと矛盾してはなりません。食い違いがあると、ディスクレパンシーとして支払いを拒まれることがあります(レッスン5-3)。

ICCの紛争解決(DOCDEX)の事例では、インボイスとパッキングリストの積み地と仕向地が逆に書かれていました。B/Lが正しくても、書類が信用状と矛盾するとして拒絶は正当とされています。

UCP600第18条aは、インボイスを発行依頼人の名義で作るよう定めています。別の事例では、通知先(Notify Party)欄に輸入者の名前があるだけでは足りないとされました。銀行に出す書類一式の確認はレッスン11-2で学びます。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

商業送り状(インボイス)Commercial Invoice

輸出者が輸入者に貨物の発送を知らせるために作る書類。品名・数量・価格などを書き、代金の明細書と請求書を兼ねる。

仕入書Invoice

通関の場面でのインボイスの呼び方。税関が申告の内容を確かめるために使う。

包装明細書(パッキングリスト)Packing List

インボイスを補う書類。梱包の個数、包装後の重量・容積などを書き、価格は通常書かない。

総重量Gross Weight

梱包材などを含めた貨物の合計の重さ。

正味重量Net Weight

梱包材などを含まない、貨物そのものの重さ。純重量ともいう。

容積Measurement

貨物の大きさ(体積)。運賃の計算にも使われる。

荷送人・荷受人Shipper / Consignee

貨物を送る人と受け取る人。貿易では通常、輸出者と輸入者。

通知先Notify Party

貨物が到着したときに運送人が連絡する相手。インボイスの名宛人とは別のもの。

出典

  1. 税関「1107 輸入申告の際に必要な書類」(カスタムスアンサー。仕入書・包装明細書・B/L等の提出、仕入書の定義、関税法第68条・施行令第61条)
  2. 税関「5001 輸出通関手続の概要」(カスタムスアンサー。輸出申告書に仕入書等を添付)
  3. 税関「関税法基本通達 第6章第3節 一般輸入通関」(68-3-1 仕入書の記載事項等、67-3-10 包装明細書と一部指定検査)
  4. 税関「関税法基本通達 第6章第1節 一般輸出通関」(68-1-1 輸出の仕入書の記載事項等)
  5. e-Gov法令検索「関税法」(第68条 輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類)
  6. e-Gov法令検索「関税法施行令」(第61条 提出書類、第4条 仕入書等による課税価格の計算の基礎)
  7. ジェトロ「通関業者に輸出通関を依頼する際の必要書類:日本」(貿易・投資相談Q&A。仕入書・包装明細書の内容と兼用)
  8. ジェトロ「輸出代金の請求方法と送金に関する銀行諸費用の負担:日本」(貿易・投資相談Q&A。インボイスは代金明細書と請求書を兼ねる)
  9. ジェトロ「荷印(ケースマーク)の記載内容および記載方法:日本」(貿易・投資相談Q&A。荷印の記載事項、船積書類への記載と書類間の一致)
  10. 国土交通省「国際海上輸出コンテナの総重量の確定方法マニュアル」(正味重量と、梱包材などを含む合計の重量)
  11. ICC DOCDEX Decision No. 290(UCP600第14条d。インボイス・パッキングリストの積み地と仕向地の誤り)
  12. ICC DOCDEX Decision No. 325(UCP600第18条a(ii)。インボイスは発行依頼人の名義で作る)

LESSON 11-1 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. パッキングリスト(包装明細書)に通常書かない情報はどれですか。

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正解: 2. 価格や代金決済に関する情報
パッキングリストはインボイスを補う書類で、梱包の個数や包装後の重量・容積を書きます。価格や決済に関する情報は通常書かず、それらはインボイスに書きます。

Q2. 1箱あたり正味重量20kgの商品を、1箱あたり2kgの梱包材で梱包し、10箱出荷します。総重量の合計はいくらですか(説明のための例です)。

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正解: 1. 220kg
総重量は、梱包材などを含めた合計の重さです。1箱あたり20kg+2kg=22kgで、10箱なので220kgです。200kgは正味重量の合計です。

Q3. 信用状取引で、UCP600に沿ったインボイスの作り方として正しいものはどれですか。

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正解: 3. 原則として、発行依頼人(輸入者)を名宛人にして作る
UCP600第18条aは、インボイスを発行依頼人の名義で作るよう定めています。通知先に名前があるだけでは足りません。また、B/Lが正しくても、インボイスの記載が信用状と矛盾すればディスクレパンシーになります。

レッスン11-1はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第11章 貿易書類 のレッスン一覧
  1. 11-1インボイスとP/L
  2. 11-2船積書類一式
  3. 11-3NACCSとe-B/L

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