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第10章 通関と関税 ・ レッスン10-4原産地規則と原産地証明書。原産品の基準と証明方法
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. 文書による事前教示の回答書について、正しいものはどれですか。
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正解: 1. 有効期間は3年間で、輸入申告の審査の際に尊重される
事前教示回答書の有効期間は3年です。照会内容と現品が違うときなどは尊重されません。口頭やEメールの照会は、原則として文書と扱いが異なります。
Q2. 輸出の許可を受けた後の貨物について、正しいものはどれですか。
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正解: 3. 関税法上の外国貨物となり、原則として保税地域以外には置けない
輸出の許可を受けた貨物は外国貨物になります。外国貨物は原則として保税地域以外に置けないため、保税地域から船や航空機に積み込まれます。
このレッスンの学習目標
- 特恵原産地規則と非特恵原産地規則の違いを説明できる
- 完全生産品・原産材料のみから生産される産品・実質的変更基準の3つの基準を区別できる
- 第三者証明・認定輸出者自己証明・自己申告の違いと、事後確認の意味がわかる
要点
- 原産地規則とは、貨物の原産地、つまりモノの「国籍」を決めるルールのことです。
- 原産地規則には、EPA税率や一般特恵関税に使う特恵原産地規則と、WTO協定税率の適用や貿易統計に使う非特恵原産地規則があります。
- EPAでは、完全生産品、原産材料のみから生産される産品、実質的変更基準を満たす産品が原産品とされます。
- 実質的変更基準には、関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準の3つの考え方があり、品目別規則で決まっています。
- 原産品の証明方法には、第三者証明制度、認定輸出者自己証明制度、自己申告制度があり、通関後に事後確認を受けることがあります。
01原産地規則とは。特恵と非特恵の2種類
原産地規則とは、モノの「国籍」を決めるルールです。EPA税率などに使う特恵原産地規則と、WTO協定税率の適用や貿易統計に使う非特恵原産地規則に分かれます。
原産地規則は、どの国の産品かを決めるためのルールです。1か国で生まれ育った牛の肉なら、原産地は明らかです。しかし、ある国のぶどうを別の国でボトル詰めしたワインのように、生産が複数の国にまたがると、決まりが必要になります。
税関によると、原産地規則は大きく2つに分かれます。1つは特恵原産地規則で、EPA税率や一般特恵関税(GSP)の税率を使うための規則です。特恵とは、特定の国の産品だけに低い税率を認めることです。もう1つは非特恵原産地規則で、WTO協定税率の適用や貿易統計の作成などに使います。
原産地規則は、原産品と認める基準である原産地基準と、証明や確認の手続である原産地手続の2つでできています。非特恵原産地規則では、インボイスなどの通関書類で原産国を確認し、通常は原産地証明書の提出は不要です。
02原産品と認められる3つの基準
EPAでは、基本的に完全生産品、原産材料のみから生産される産品、実質的変更基準を満たす産品の3つが原産品とされます。細かな内容は協定ごとに異なります。
完全生産品とは、生産が1か国で完結している産品です。その国で生まれ育った家畜や、その国で採れた原油などの鉱物が例です。
原産材料のみから生産される産品とは、締約国の原産材料だけを使い、その国で生産された産品です。締約国とは協定を結んだ国のことです。材料はすべて原産材料なので、一見1か国で完結しているように見えます。しかし原産材料の生産までさかのぼると、第三国の材料が使われている点が完全生産品と違います。
実質的変更基準を満たす産品とは、第三国の材料(非原産材料)を使っても、元の材料から大きく変化した産品です。この変化を実質的変更といいます。
03実質的変更基準。関税分類変更・付加価値・加工工程
実質的変更基準は、関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準のいずれか、またはその組合せです。品目ごとの具体的な基準は、協定の品目別規則で決まっています。
関税分類変更基準は、非原産材料と産品のHSコード(品目の番号)が一定以上違えば、実質的変更があったとみる考え方です。税関の例では、日タイEPAの醤油は項(HSコードの上4桁)の変更が基準です。アメリカ産の大豆(12.01項)から日本で醤油(21.03項)を作れば、項が変わります。
付加価値基準は、締約国での生産で加わった価値が基準値以上なら、実質的変更とみる考え方です。税関の例では、日豪EPAの乗用自動車は40%以上が基準です(関税分類変更基準との選択制)。産品の価額10,000ドル、非原産材料2,000ドルなら、付加価値は80%で基準を満たします。
加工工程基準は、化学反応、蒸留、精製など特定の加工をすれば、実質的変更とみる考え方です。日豪EPAのグリセリンでは、化学反応の工程が基準の1つです。自分の品目の基準を調べるにはHSコードが必要で、レッスン10-3で学びます。
04原産品を証明する3つの方法
日本では、第三者証明制度、認定輸出者自己証明制度、自己申告制度があり、使える方法は協定ごとに異なります。日本からの第三者証明は、日本商工会議所が発給します。
第三者証明制度では、輸出者が輸出国の発給機関に申請して原産地証明書を取得し、輸入者が輸入国の税関に出します。日本では、経済産業大臣が指定した日本商工会議所が特定原産地証明書を発給します。ただし、日シンガポールEPAは全国の商工会議所が発給します。
認定輸出者自己証明制度では、当局の認定を受けた輸出者が、インボイスなどに認定番号を含む申告文を書きます。日本では経済産業省が輸出者を認定し、日メキシコEPAや日スイスEPAなどで使えます。自己申告制度は、輸入者・輸出者・生産者が自ら原産品申告書を作る方法で、レッスン2-3で紹介しました。
なお、各地の商工会議所は、日本産か外国産かを証明する一般の原産地証明書も発給しています。これは非特恵の証明書で、EPA税率を使うための書類にはなりません。
05事後確認と書類の保存
事後確認とは、特恵税率で輸入した貨物が本当に原産品かを、通関後に税関が確かめることです。確認できなければ特恵税率は否認されます。
日本への輸入では、税関が輸入者に書面で資料を求めたり、事業所を訪ねて調べたりします。それでも確認できない場合、輸出者や生産者に情報を求めたり、現地を訪れたりすることもあります。原産品と確認できなければ特恵税率は否認され、過少申告加算税などの対象にもなりえます。
日本から輸出した貨物も、相手国の税関から確認を求められることがあります。日EU・EPAや日英EPAで自己申告した輸出者・生産者は、作成日から4年間、申告書の写しと根拠の記録を保管します。輸入者には、輸入許可の翌日から5年間、帳簿と関係書類の保存義務があります。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
貨物の原産地(モノの国籍)を決めるルール。原産地基準と原産地手続からなる。
WTO協定税率の適用や貿易統計の作成などに使う原産地規則。通常、原産地証明書の提出は不要。
生産が1か国で完結している産品。その国で生まれ育った家畜や、採れた鉱物など。
非原産材料を使っても、元の材料から大きく変化した産品を原産品と認める基準。品目別規則で決まる。
非原産材料と産品のHSコードが一定以上違えば、実質的変更があったとみる考え方。
締約国で加わった価値が基準値以上なら、実質的変更があったとみる考え方。
EPAの第三者証明制度で使う原産地証明書。日本では日本商工会議所が発給する。
特恵税率で輸入された貨物が原産品かを、通関後に税関が確認すること。
出典
LESSON 10-4 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. ある協定の品目別規則が「付加価値40%以上」です。産品の価額5,000ドル、非原産材料の価額2,000ドルの場合(例)、正しいものはどれですか。
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正解: 3. 付加価値は60%で、基準を満たす
(5,000-2,000)÷5,000×100=60%です。40%以上なので、付加価値基準を満たします。実際の計算方法は協定や品目別規則で確認します。
Q2. 非特恵原産地規則が使われる場面として、正しいものはどれですか。
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正解: 1. WTO協定税率の適用や貿易統計の作成
EPA税率とGSPの税率は特恵原産地規則を使います。非特恵原産地規則は、WTO協定税率の適用や貿易統計の作成などに使います。
Q3. 日本からEPA相手国へ輸出します。第三者証明制度の協定で、相手国でEPA税率を使うための書類として正しいものはどれですか。
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正解: 2. 日本商工会議所が発給する特定原産地証明書
第三者証明制度では、経済産業大臣が指定した日本商工会議所が特定原産地証明書を発給します(日シンガポールEPAは各地の商工会議所)。一般の原産地証明書はEPA税率用の書類になりません。
レッスン10-4はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。