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第10章 通関と関税 ・ レッスン10-3HSコードと関税率表の読み方。品目番号から税率を調べる
読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04
前回の復習(1分)
本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。
Q1. 課税価格100万円、関税率5%の貨物(標準税率の対象)を輸入するとします。消費税(7.8%)の計算の基準になる額はいくらですか。端数処理は考えないものとします。
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正解: 1. 105万円
関税額は100万円×5%で5万円です。消費税の基準は課税価格に関税額を足した105万円で、消費税は105万円×7.8%で81,900円になります。
Q2. 国内向けのPL保険だけに入っているメーカーが、米国に輸出した製品で事故を起こしました。正しい考え方はどれですか。
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正解: 3. 一般的なPL保険は日本国内の事故が対象なので、海外PL保険で備えておく必要がある
一般的なPL保険(生産物賠償責任保険)は、日本国内で生じた事故が対象です。輸出製品の海外での事故には、海外PL保険を手配して備えます。
このレッスンの学習目標
- HSコードの6桁と、日本の9桁の統計品目番号のしくみを説明できる
- 実行関税率表の各欄(基本・暫定・WTO協定・特恵・EPA)を読み取れる
- 従価税と従量税の違い、品目分類の調べ方と事前教示制度がわかる
要点
- HS(統一システム)とは、WCO(世界税関機構)が作った、あらゆる商品を6桁の番号で分類する国際的な品目表のことです。
- HSコードは上2桁が類、4桁が項、6桁が号です。日本の輸入申告では、日本独自の3桁を加えた9桁の統計品目番号を使います。
- 実行関税率表には、基本・暫定・WTO協定・特恵・特別特恵の税率と、協定ごとのEPA税率が並んでいます。
- 関税には、価格にかける従価税、数量にかける従量税、その両方を基準にする従価従量税があります。
- 分類は通則と関税率表解説・分類例規で決めます。迷ったときは事前教示制度で税関に照会できます。
01HSとは。世界共通の6桁の品目番号
HS(統一システム)とは、WCO(世界税関機構)が作った国際的な品目分類です。あらゆる商品を6桁の番号で体系的に分類し、200を超える国・経済圏が使っています。
HSは、Harmonized Commodity Description and Coding Systemの略です。WCOによると、5,000を超える品目グループを、それぞれ6桁の番号で表しています。各国はこれを関税率表や貿易統計の土台にしています。
HSの根拠は、通称「HS条約」と呼ばれる国際条約です。1988年1月に発効し、令和7年7月現在で日本を含む163の国・地域が加盟しています。WCOはおおむね5〜6年ごとにHSを改正しています。日本の実行関税率表は、2022年1月1日版からHS2022に対応しています。
HSは関税だけでなく、原産地規則、貿易統計、規制品の管理などにも使われます。EPAの品目別原産地規則を調べるときも、まずHSコードが必要です。原産地規則はレッスン10-4で学びます。
02番号の読み方。類・項・号と9桁の統計品目番号
HSコードは、上2桁が「類」、4桁が「項」、6桁が「号」です。日本の輸入申告では、6桁に日本独自の3桁を加えた9桁の統計品目番号を使います。
税関は、りんごを例に挙げています。08が類、0808が項、0808.10が号です。統計品目番号は0808.10-000になります。6桁まではHS品目表で決まっているので、HSコードやHS番号と呼ばれます。
下3桁は、日本の統計品目表で定めた独自の番号です。つまり、6桁までが国際共通の部分で、7桁目以降は日本のルールです。
HS品目表は、21の「部」と96の「類」に分かれ、項は1,227、号は5,611あります。部はおおむね産業別です。類は、材料とその加工の度合い、または用途や機能で分けられています。
03実行関税率表の読み方
実行関税率表とは、関税率表、WTOやEPAの譲許表、輸入統計品目表の情報を1つにまとめた表です。税関のサイトで類ごとに公開され、改正のたびに新しい版が出ます。
表の左から、統計番号、品名、関税率が並びます。関税率は、基本・暫定・WTO協定・特恵・特別特恵の5つの欄です。その右に協定ごとのEPA税率が並び、最後に数量の単位と他法令の欄があります。
2026年8月8日版で、いったコーヒー(カフェインを除いてないもの、0901.21-000)を見てみます。基本は20%、WTO協定は12%、特恵は10%、特別特恵は無税です。暫定の欄は空欄で、この品目には設定されていません。
特恵は開発途上国、特別特恵は後発開発途上国(LDC)の産品向けの税率です。暫定税率は基本税率より優先し、協定税率はそれより低い場合に使います。EPA税率を含む選び方の全体は、レッスン2-3を見直してください。
04従価税と従量税。税率の書き方の違い
関税には、価格にかける従価税、数量にかける従量税、その両方を基準にする従価従量税があります。「20%」は従価税、「円/l」などの単位付きは従量税の書き方です。
関税は原則として、輸入申告のときの貨物の価格または数量を基準にかけます。この基準を課税標準といいます。価格が基準の品目を従価税品、数量なら従量税品、両方なら従価従量税品と呼びます。
計算の例です(数字は説明用の例)。課税価格100万円の貨物に従価税20%なら、関税は20万円です。1リットル当たり100円の従量税で300リットルなら、3万円になります。
税関の「主な商品の関税率の目安」では、甲が革製の履物が「30%又は4,300円/足のうちいずれか高い税率」です。このように、2通りの計算の高いほうを使う品目もあります。税額の計算はレッスン10-2で学びます。
05HSコードの調べ方と事前教示制度
HSコードは、関税率表の解釈に関する通則と、関税率表解説・分類例規を使って決めます。判断が難しいときは、輸入前に税関へ照会できる事前教示制度があります。
分類の原則は通則1です。部や類の表題は参照の便宜のためのもので、項の規定と部・類の注に従って分類します。それで決まらないときは、通則2から5を順に使います。号は通則6で決めます。
税関は、関税率表解説と分類例規を公開しています。関税率表解説は、WCOの解説書(Explanatory Notes)がもとです。分類例規は、分類基準と分類事例をまとめた通達です。過去の事前教示回答も検索できます。
事前教示制度とは、輸入予定の貨物の所属区分や関税率を、前もって税関に照会できる制度です。文書で照会すると事前教示回答書が交付され、有効期間3年の間、輸入申告の審査で尊重されます。ただし、照会内容と現品が違うときなどは尊重されません。
KEYWORDSキーワード(日本語・英語)
このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。
WCOが作った国際的な品目分類。あらゆる商品を6桁の番号で体系的に分類する。
HS品目表で決まっている6桁までの番号。上2桁が類、4桁が項、6桁が号。
HSコード6桁に日本独自の3桁を加えた9桁の番号。日本の輸入申告で使う。
関税率表、WTOやEPAの譲許表、輸入統計品目表の情報を一覧にまとめた表。
政策上の必要から、一定期間に限り基本税率を修正して適用する税率。基本税率に優先する。
貨物の価格(課税価格)を基準にかける関税。税率は%で表す。
貨物の数量(重さ・容量・個数など)を基準にかける関税。
輸入予定の貨物の所属区分や関税率を、前もって税関に照会し回答を受ける制度。
出典
- WCO, "What is the Harmonized System (HS)?"
- 税関「1201 品目分類の概要(カスタムスアンサー)」
- 税関「品目分類とHS」
- 税関「輸入統計品目表(実行関税率表)」
- 税関「実行関税率表(2026年8月8日版)第9類」
- 税関「税率決定までの流れ」
- 税関「1105 関税率の種類(カスタムスアンサー)」
- 税関「1104 関税の課税標準(カスタムスアンサー)」
- 税関「1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)」
- 税関「関税率表解説・分類例規」
- 税関「1202 品目分類の事前教示制度について(カスタムスアンサー)」
- 税関「1203 事前教示回答(品目分類)の公開について(カスタムスアンサー)」
- e-Gov法令検索「関税法」第7条第3項(教示)
LESSON 10-3 の仕上げ
確認クイズ(全3問)
読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。
Q1. 日本の輸入申告で使う統計品目番号は、何桁の番号ですか。
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正解: 3. 9桁
HSコードの6桁に、日本独自の3桁を加えた9桁です。6桁までは各国共通のHS品目表の番号です。
Q2. ある品目は基本税率20%、暫定税率の欄が空欄、WTO協定税率12%です。WTO加盟国の産品で、特恵やEPA税率を使わない場合、適用される税率はどれですか。
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正解: 2. 12%
暫定税率がないので基本税率20%と協定税率12%を比べます。協定税率のほうが低いので、12%が適用されます。
Q3. 文書による事前教示の回答書について、正しいものはどれですか。
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正解: 1. 有効期間は3年間で、輸入申告の審査の際に尊重される
事前教示回答書の有効期間は3年です。照会内容と現品が違うときなどは尊重されません。口頭やEメールの照会は、原則として文書と扱いが異なります。
レッスン10-3はここまでです
クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。