HOME / ゼロから学ぶ貿易実務 / 講座 / 第14章 総まとめと模擬試験 / 間違えやすい点

第14章 総まとめと模擬試験 ・ レッスン14-2

間違えやすいポイントまとめ。似た用語と数字を整理する

読む時間の目安: 5分 ・ 公開日 2026-10-04

前回の復習(1分)

本文に入る前に、前のレッスンの内容を思い出してみましょう。

レッスン14-1から

Q1. 輸入地で貨物が着いたとき、輸入者側がB/Lを船会社に出して受け取る書類はどれですか。

答えを見る

正解: 3. 荷渡指図書(D/O)
B/Lを船会社に提示し、引き換えに荷渡指図書(D/O)を受け取ります(レッスン1-4)。輸出許可書は輸出地の税関が出すもので、保険承認状は保険の書類です。

レッスン13-3から

Q2. 信用状の必要書類欄に"bills of lading made out to order and blank endorsed"とあります。正しい読み方はどれですか。

答えを見る

正解: 1. 荷受人欄を「指図により(to order)」とし、荷送人が相手を書かずに裏書した船荷証券
"made out to order"は荷受人欄を指図式にすること、"blank endorsed"は被裏書人を書かずに署名する白地裏書です。運賃前払いは"freight prepaid"、到着の通知先は"notify"で表します。

このレッスンの学習目標

要点

  1. 間違えやすいポイントとは、名前や役割が似ているために取り違えやすい用語や数字の組のことです。
  2. 取引条件では、C規則でも危険は出発地で移り、所有権や代金はインコタームズでは決まりません。
  3. 決済ではD/PとD/A、TTSとTTBの向き、運送書類ではB/Lだけが有価証券という点が要注意です。
  4. 保険ではCIFは(C)、CIPは(A)の水準、保険金額はCIF価格の110%が通常です。
  5. 通関では課税価格はCIF価格が基準で、保税蔵置場は原則2年、運送クレームは3日と1年が目安の数字です。

01取引条件。危険が移る場所と、決まらないこと

FOBは本船に積んだ時点、FCAは運送人に渡した時点で危険が移ります。CIFも運賃は売主ですが、危険は船積み港で移ります。所有権や代金はインコタームズでは決まりません。

1つ目はFOBとFCAです。FOBは、船積み港で本船に積んだ時点で危険が買主に移ります(レッスン4-2)。FCAは運送人に渡した時点で移り、どの輸送手段にも使えます(レッスン4-3)。コンテナ貨物には、FCA・CPT・CIPが勧められます(レッスン4-5)。

2つ目はCIFの危険移転です。CFRとCIFは売主が仕向港までの運賃を払いますが、危険は船積み港の本船上で移ります(レッスン4-2)。CPTとCIPも、最初の運送人に渡した時点で移ります(レッスン4-3)。

3つ目は、インコタームズで決まることの範囲です。所有権の移転時点や代金・支払方法は定めておらず、売買契約で決めます(レッスン4-5)。契約書には「Incoterms 2020」と版も明示します。

02決済と為替。書類を渡す条件と相場の向き

D/Pは支払いと、D/Aは手形の引受と引き換えに書類が渡ります。信用状では銀行は書類だけを見ます。円で外貨を買う輸入者はTTS、外貨を円に替える輸出者はTTBです。

D/PとD/Aは、船積書類を渡すタイミングが違います(レッスン5-4)。D/Pは代金の支払い、D/Aは期限付き手形の引受と引き換えです。D/Aは払う前に貨物を引き取れるので、輸出者のリスクが高くなります。

信用状は売買契約から独立し、銀行は商品ではなく書類を扱います(レッスン5-2)。UCP600の信用状は、明記がなくても取消不能です。書類は原則、船積みから21日以内かつ有効期限内に呈示します(レッスン5-3)。

TTSとTTBの売り・買いは、銀行から見た言い方です(レッスン6-1)。銀行が外貨を売るTTSは、円で外貨を買って払う輸入者に使います。銀行が外貨を買うTTBは、代金を円に替える輸出者に使います。

03運送書類。有価証券かどうかと荷受人の書き方

B/Lは有価証券で、原本と引き換えに貨物を渡します。AWBと海上運送状は有価証券ではなく、荷受人と確認できれば原本なしで引き取れます。信用状では指図式のB/Lが一般的です。

B/Lは、貨物を引き取る権利を表す有価証券です(レッスン7-3)。海上運送状(Sea Waybill)は有価証券ではなく、裏書で譲渡できません。AWBも有価証券でも引換証でもなく、担保になりません(レッスン8-2)。

荷受人欄に「to order」などと書くのが指図式で、裏書で権利を移せます(レッスン7-3)。特定の会社名を書くのが記名式です。AWBは記名式で、譲渡はできません(レッスン8-2)。

船積式と受取式も区別します(レッスン7-3)。信用状取引では通常、無故障の船積船荷証券が求められます。受取式でも、積込済の付記を加えれば同じ扱いにできます。

04保険とクレーム。補償の広さと期限の数字

(A)はオールリスク、(B)と(C)は列挙責任で、(B)は(C)に地震や海水の浸入などを加えます。CIFは(C)、CIPは(A)が基準です。運送クレームは3日と1年が要点です。

(A)は、除外された損害以外を広く補償するオールリスクです(レッスン9-2)。(B)と(C)は、名前の挙がった事故だけを補償します。(B)は(C)に地震・噴火・雷や海水の浸入などを加えます。戦争とストライキは3つとも対象外です。

CIFの売主は最低でも(C)、CIPの売主は(A)の水準で保険を掛けます(レッスン4-2、4-3、9-2)。保険金額は、CIF価格に希望利益10%を加えた110%が通常です(レッスン9-3)。

運送クレームでは、すぐ見つからない損傷は受取から3日以内に書面で通知します(レッスン12-1)。運送人の責任は、引渡しから1年以内に裁判上の請求がないと消滅します。相手が売主なら貿易クレームです。

05通関と関税。課税価格、税率、原産地、保税の期間

関税の課税価格はCIF価格が基準です。暫定税率は基本税率に優先し、WTO協定税率はそれより低いときに使います。保税蔵置場は原則2年、指定保税地域は原則1か月です。

FOBで買っても、課税価格は輸入港までの運賃・保険料を加えたCIF価格です(レッスン4-5、10-2)。税率は、暫定税率が基本税率に優先し、WTO協定税率はそれより低いときに使います(レッスン10-3)。条件を満たせば、より低いEPA税率も使えます(レッスン2-3)。

原産地の証明には、第三者証明と自己申告などがあります(レッスン2-3、10-4)。日本の第三者証明は日本商工会議所が発給します。一般の原産地証明書は非特恵用で、EPA税率には使えません。

保税地域の期間も混同しやすい数字です(レッスン10-5)。指定保税地域は原則1か月の一時保管の場所です。保税蔵置場は承認の日から原則2年で、延長もできます。

KEYWORDSキーワード(日本語・英語)

このレッスンで覚えておきたい用語です。貿易の書類や契約は英語が中心なので、英語名も一緒に覚えましょう。

危険の移転Transfer of risk

貨物の滅失や損傷の危険が売主から買主に移ること。C規則でも出発地で移る。

引受渡し(D/A)Documents against Acceptance

輸入者が期限付き手形を引き受けるのと引き換えに、銀行が船積書類を渡す条件。

電信売相場(TTS)Telegraphic Transfer Selling rate

銀行が顧客に外貨を売る相場。円で外貨を買って支払う輸入者に使われる。

指図式船荷証券Order B/L

荷受人欄に「to order」などと書いた船荷証券。裏書で貨物の権利を移せる。

海上運送状Sea Waybill

受領証と運送契約の証拠を兼ねる書類。有価証券ではなく、原本なしで貨物を引き取れる。

列挙責任Named perils

約款に名前の挙がった事故による損害だけを補償する方式。ICC(B)と(C)が該当する。

課税価格Customs value

関税を計算する基準の価格。輸入港までの運賃・保険料を含むCIF価格が基準。

保税蔵置場Bonded warehouse

外国貨物を置いておける、税関長の許可を受けた倉庫など。蔵置期間は原則2年。

出典

  1. ジェトロ「インコタームズ2020」(貿易・投資相談Q&A。11規則、所有権・代金は定めない、2010年版との違い、契約書への明示)
  2. ICC, "Incoterms® 2020"(FCAの改訂、CIFとCIPの保険水準、DATからDPUへ)
  3. ICC Digital Library, "UCP 600: Uniform Customs and Practice for Documentary Credits"(第1〜10条・第12条・第14条・第29条の規則本文。当事者の定義、取消不能、独立性、確認、通知、指定、呈示期限)
  4. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「航空貨物運送状(Air Waybill)と船荷証券(B/L)の違い」
  5. ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「荷主としての貨物への保険の種類と留意点:日本」(1982年版・2009年版の併用、ICC(A)(B)(C)の補償範囲と免責、旧約款との対応)
  6. 税関「1105 関税率の種類(カスタムスアンサー)」
  7. 税関「保税地域の種類と主な機能」(保税ポータル、PDF)
  8. e-Gov法令検索「国際海上物品運送法」(第7条 荷受人等の通知義務、第15条 商法の適用)

LESSON 14-2 の仕上げ

確認クイズ(全3問)

読んだ直後に思い出すと、記憶に残りやすくなります。選択肢をタップして答えてください。

Q1. CIF条件で輸出した貨物が、航海中に事故で損傷しました。インコタームズ2020で、この危険を負うのは誰ですか。

答えを見る

正解: 2. 買主
CIFでは売主が運賃と保険料を払いますが、危険は船積み港で本船に積んだ時点で買主に移ります(レッスン4-2)。

Q2. 航空運送状(AWB)の説明として正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 3. 荷受人であると確認できれば、原本なしで貨物を引き取れる
AWBは有価証券でも引換証でもない記名式の書類です。荷受人と確認できれば原本なしで引き取れます(レッスン8-2)。

Q3. 保税蔵置場に外国貨物を置ける期間として正しいものはどれですか。

答えを見る

正解: 1. 承認の日から原則2年で、延長もできる
保税蔵置場は原則2年で、特別な事由があれば延長できます。原則1か月なのは指定保税地域です(レッスン10-5)。

レッスン14-2はここまでです

クイズで迷った問題があれば、その見出しの本文を読み直してから次に進みましょう。

第14章 総まとめと模擬試験 のレッスン一覧
  1. 14-1書類で流れを総復習
  2. 14-2間違えやすい点

講座の目次(全14章)へ